映画 かぞくのくに
8月11日
今日は新宿のカルチャーセンターで受講している講座のある日ですが、講座は午後1時からです。 折角新宿まで行くのだからとテアトル新宿で10時からやっている 「かぞくのくに」 という映画を見にいくことにしました。新聞の評がとても良かったのです。
グーグルマップで検索、映画館は 新宿三丁目、伊勢丹の向こうです。
学生時代、このあたりのビルにも映画館はあったな、アートシアターとか、などと思いながらすっかり変わってしまった新宿へ。
映画って、例えばハリウッド映画のようにはらはらドキドキしても最後はちゃんと心を落ちつかせてくれる結末で、何となくほっとして映画館を出られるような映画がよくありますが、一方 一週間、そこまでいかなくても数日間は 振り回されて抜け出せない映画もあります。
この「かぞくのくに」も見終わったあとも気になる映画です。
パンフレット

日本に住む朝鮮人家族の物語ですが、このストーリーの背景には、北朝鮮への帰還事業、というのがあります。
私は初めて知ったことなのですが、1959年12月から、中断はあったものの 84年まで続いた北朝鮮への集団移住のことです。
民族差別や貧困に苦しんでいた人たちが、当時政治経済の状況が不安定だった韓国ではなく、旧ソ連の影響で 経済成長が見られた北朝鮮を地上の楽園として 九万人以上の人たちが 海を渡ったそうです。
ストーリーは
その帰還事業で16歳のときに 北朝鮮に帰国 したソンホが脳腫瘍の治療のため25年ぶりに三カ月だけ帰国(? 日本滞在)を許されてかえってくるところから 始まります。
あの国であったことを想像させるような まるで魂を抜かれたかのような無感動状態のソンホ、どこか違和感もありながら 次第に家族らしさをとりもどしてくる一家。とくに10歳年下の妹リエとの会話を中心に話しが進みます。昔の同級生やガールフレンドとの再会。 心の奥は見せないけれど、妹に見せる優しさ、ひどい目にあったはずなのに、どうしてあの優しさが 保てるのだろう。
鞄屋さんで妹にスーツケースを持たせて 自分はどこにも行けないのに、 妹には 「そういうのを持っていろんな国へいくんだよ」
そうして 突然の帰国命令、理不尽だと怒る妹に 「あの国にはそういうことはよくある、 理由なんて考えてはいけない。思考停止、楽だぞ。 考えるのは、どうやって生き抜くかだけ」そうして妹には「お前はたくさん考えて納得しながら生きろ」
ともかくソンホが良すぎて。これは 監督の実体験だそうですから、 (兄が三人とも北にわたった)思い出の兄たち、というところもあるのかな、 と思ったりはしましたが。優しいだけに余計哀しくなります。
もうあちこちで すすり泣きもきこえました。
書きたいことは沢山あるのですが、 あまり書いてしまうと 映画を見るときの楽しみを奪ってしまうのでここまでにしますが、 俳優 みんなよかったです。
どこかでみた顔と思った妹リエ役の安藤サクラさんは奥田瑛二さんと安藤和津さんのお嬢様だそうで 和津さんにそっくり、「あの国なんて大嫌い」と叫ぶ妹が 動 とすると 兄ソンホは 静
ソンホ役の井浦新さんはつらいはずの北での生活を決して口にはせず、体全体、特に表情で見せて素晴らしい。
息子を北に送ってしまった父親の思想の固さとそれゆえの苦しみ、津嘉山正種さんも良かったです。
北朝鮮って、すぐ思い出すのは 横田めぐみさんたちの拉致事件、 テポドンとかのミサイル発射実験、そうして、どうも飢餓に近いらしい食糧事情くらいしか知りません。 ともかく マイナスイメージしか浮かびません。
映画の最後に母親が北朝鮮から付いてきた監視員にも気をつかって、新しい衣類などを用意し手紙を添えます。その中で
病を持つ息子に 何もしてやれません。出来ることは 祖国を信じることだけです。、、
ああいう国なのにそれでも祖国、なんとかいい国になってほしい。そうして息子に幸せに暮らしてほしい、そう願っているのです。
在日と言われる人たちの祖国に対する思いをこれまで私は全く考えたことがありませんでした。そのことを気付かされて私にはショックでした。
北に戻ったソンホはどうしているのだろう、この国の自由と繁栄を見せて返すのなんてあまりにも酷、、あの家族はまた悲しみ苦しみをかかえて生きていくのだろう、これからの北朝鮮は?
とても感動的な映画。お薦めです。 是非是非 。
ソンホが北に渡ったのはフォーク全盛時代だったのでしょうか。。「白いブランコ」 の歌も印象的でした。
ネットでみつけた ヤン・ヨンヒ監督の言葉
現在も家族が北朝鮮で生活をしている監督は「家族の話を撮れば撮るほど家族に会えなくなっているという矛盾があるんですが…」と複雑な思いを明かし、「正直、不安だし家族に申し訳ない気持ちもあるし(3作目の本作を撮ったことで)もっと心配になっています」と悲痛な思いを吐露。その上で「家族を守るためにもこの映画を通じて世界中のいろんな人にうちの家族を知ってもらえたら。“オフィシャル問題児”になる覚悟でいます。だからぜひこの映画をいろんな人に観てほしい。写真の人(=額入りの写真で飾られている北朝鮮の最高指導者)にも観てほしい!」と本作が世界中に広まることで少しでも状況が変化していくことへの期待を口にし、客席からは大きな拍手が沸き起こった。
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kikuko様
簡単に感想が言えないというお気持ちよくわかります。
昨日 劇場公開を見逃した『サラの鍵』という映画のDVDを借りてきて見ました。ユダヤ人の家族を扱った物語です。これも実話をもとにしているそうです。とても良かったのですが 『かぞくのくに』 を見てしまうと、どうも、、、 、 やはり北朝鮮の今の重さでしょうか。
政治の場での 日本と韓国、北朝鮮の問題は今また大変な状況にありますが、ニュースに上がってこない一般の人のつらい気持、その背後の歴史をに注意をむけさせる点での意義は大きいと思いました。
「あんな国大嫌い」というセリフをいわせるのに 何年もかかったそうですが、 監督はとても勇気があると思います。
井浦新さんの抑えた演技、よかったですね。
投稿: ykharuka | 2012年8月22日 (水) 09時29分
道に迷ってギリギリに駆け込んで観てきました。簡単に感想が言えない気分です。敗戦の日は国民学校(当時は小学校のことをこう呼びました)3年生で、ちょっとやそっとでは語れない体験をしています。
井浦さんが凄い演技者だということは改めて確認しました。
投稿: kikuko | 2012年8月21日 (火) 12時30分
Maria Clara 様
心を揺さぶられるいい映画です。是非みにいってください。
投稿: ykharuka | 2012年8月13日 (月) 20時04分
映画の紹介嬉しく拝読いたしました。時間を作って是非観に行きたいと思っています。
投稿: Maria Clara | 2012年8月13日 (月) 19時15分