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2015年5月 9日 (土)

映画 「パプーシャの黒い瞳」と大英博物館展

昨日(8日)はお出かけ日。 まず 岩波ホール、そのあと上野の都美術館に行きました。

「パプーシャの黒い瞳」は、映画好きの友人が電話で行くつもりだとおっしゃっていて、ジプシー? どんな映画かしら(海外に旅行すると、現地ガイドにジプシーに気をつけて!とよく言われますから、あまりいい印象がないのです)と思っていたところ新聞に評が出ていて、とても良さそうなので行くことを決めたのです。
都美術館は大英博物館展、またか、というかんじですが、ウルのスタンダード とか見たことがないのもきているようです。

岩波ホールの 「パプーシャの黒い瞳」は、11時開始、私としてはかなり早起きをしました。

映画館に着いたのは10時半過ぎ、10時半からチケット発売で (最近整理番号がつくようになったので、階段で行列をつくる必要がなくなりました) この時点で43番。 あまり混んではいないようです。 45分開場ですから ほどなく入ることができ、席は自由に選べて、良い場所を確保。35パーセントくらいの入りでしょうか。

パプーシャの黒い瞳

公式ホームページ http://www.moviola.jp/papusza/

チラシ

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ストーリーは 1910年(08年という説もある)に現在のポーランドのジプシーの集団の中で生まれた、文字に興味を持ったパプーシャの生涯です。
ジプシー(本当は ロマ というべきなのでしょうが、この映画ではジプシーとすると断りがありますので、このブログもジプシーにします、蔑視されていた状況を表すのにふさわしいと考えられているからのようです)は文字を持たない流浪の民で 文字は悪魔の呪文なのです。

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パプーシャは15歳でいやいやながら結婚させられます。美しい彼女に年の離れた父(義父らしい)の兄(ハープ弾き)にお金で買われてしまったのです。

この集団にフィツォフスキという秘密警察に追われた青年がやってきます。彼は詩人で、あるときパプーシャの呟きがそのまま詩であることに驚きます。

二年後逮捕状が取り下げられて 青年はワルシャワに戻りますが、そこでパプーシャの詩を出版しました。 これは大評判になるのですが、彼は自分のジプシー研究の本も出版したために、パプーシャ夫婦は集団から爪はじきされることになるのです。
どうやら、ジプシーは 自分たちの内部のことを外に漏らさない、という掟があるらしいのです。(このところ私はよくわかりません、もしかしたら、詩人として成功した彼女への妬みもあったのかもしれないと考えたりもします。それとこういうことの判断は 長老に絶対服従のようで、この集団の特性もかいまみせています) ジプシーという存在そのものが 社会の外の人々であることに加えて二重の疎外です。

私は 知らなかったのですが、ナチスの虐殺はジプシーに対してもなされたそうで、そういうシーンもありました。
悲しい物語で、白黒映画であることが詩情をかきたてているだけでなく哀しみも強く訴える効果があるように思えました。

映画は時がかなり前後して少しとまどうところもありました。

映像も 断章、という感じでしょうか。 途切れ、というか 間をあけているところがあります。

それにしても画面が美しい。

時に 川(湖?)沿いに行くシーンは 夢をみているようでした。

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音楽、ジプシー音楽もよかってですが、パプーシャの詩につけられた歌の美しいこと。

パプーシャの詩、これが 何度かでてきます。

いつだって飢えて いつだって貧しくて

 

旅する道は 悲しみに満ちている

 

とがった石ころが はだしの足を刺す

弾が飛び交い 耳元を銃声がかすめる

すべてのジプシーよ 私のもとにおいで

走っておいで 大きな焚き火が輝く森へ

すべてのものに 陽の光が降り注ぐ森へ

、、、

森の美しさ、森を父としている、歌が歌われるのですが、映画はその森の明るさ、温かさというものはあまり表現していないように思えました。火を焚く場面は出てくるのですが、モノクロームのせいか、美しいと感じても明るさや温かみを私は感じませんでした。 

例えば 少女期の森で遊ぶ楽しさや文字習得の歓びなどが、もうすこし描かれているとよかったのに、という気がしました。

パプーシャ役の女優さん、とても美しくて素敵なのですが、私の考えているジプシーの顔ではなかったように思います。もうすこし色黒で鋭い感じがするのです。この女優さんは柔らかいイメージでした。そこが見ていて救いでもあるし悲しさをきわだたせている要素かもしれません。

パプーシャの身に起こったことだけでなく 定住化政策により集団で移動するという生活スタイルを棄てさせられたジプシーの運命にもおもいがよせられ、観終わって救いのなさを感じてしまいました。白黒映画だからかもしれません。 
救いは最後に流れる美しい歌声でした。

映像はうつくしかったのですが寂しい(少しやりきれない気持ちにさせられた)映画でした。
でも、観てよかったと思う映画でした。

:::::

白黒写真でしたので、カラーで我が家の今日の薔薇をのせます。

シャーロットを二枚。

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開くとこうなります。

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クイーン・オブ・スエーデン

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15050905

大英博物館展のことも続けて書く予定でしたが、
テレビのお時間
アジアハイウエーを行く(今日はイラン)がはじまりそうなので、明日にまわします。
http://www.nhk.or.jp/arataahw/

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