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2015年8月20日 (木)

『ありふれた祈り』 ウイリアム・K・クルーガー 著

また一冊 いい本に出会えました。

ありふれた祈り』 ウイリアム・K・クルーガー著 早川ポケミス 

15081601

図書館に予約していて やっと順番がまわってきました。

ポケミスに入っているのだから、ミステリーなのでしょうけれど、あまりミステリーっぽくありません。謎の死は続くのですが。

1961年のことです。
ミネソタの田舎町 語り手、フランク・ドラム13歳は メソジスト派牧師の長男です。 
牧師夫人として聖歌隊指導に当たる母、 ピアノ、作曲が得意でジュリアードに進学しようという姉、吃音障害のある弟との五人家族。 
夫は弁護士になるはずだったのに、戦争から戻って牧師になることにきめてしまったことに対して母は不満ようですが うらやましくなるような、愛情に満ちたいい家族です。 ,

彼らの住む地域は庶民の住む低地地区。
お金持ちの住む高地地区には、母の実家や、姉アリエルのボーイフレンド、ブラウン一家などが住んでいます。
先住民に対する偏見を持つ人もいます。嫌味な巡査も出てきます。

13歳の男の子であるわたしは親に禁止されようと 面白そうなことには首をつっこみたがるし、ケンカもします。

行くことを禁止されている鉄道で友達が亡くなり、その場所を見に行こうと友達、弟などと鉄道の構脚橋に行き、そこで死んだ男と先住民(インディアン)に出会ってしまいます。

このあたり、ちょっと スタンド・バイ・ミー みたいです。

大人から見ると、男の子ってどうしてわざわざ厄介ごとに近づいていくのかしら、と思うような生活のあれこれが記されていきます。暑いミネソタの少年たちの夏。 これってミステリー?でもそういうあれこれが大変な事件の序章となっているのです。

兄弟にとって家族にとってその後の生活を一転させるような大変な事件です。
それに耐える牧師である父、絶望する母、そうして兄弟にとって救いは教会の雑用係ガスの存在です。

ネタバレになるので、核心については全く書くことはできませんが、先住民族の血を引く人も住む小さな町の人々の人間模様、そうして フランクの一家の、特に事がおこってからの様子など、描写が丁寧で心ふるえるような内容でした。 

ありふれた祈り とは 弟ジェイクがお葬式のあとの食前に父牧師に代わって 凝ったところのささやかな祈りをささげたところからきています。この時から弟はどもらなくなったのです。

フランクが 事件から40年たって当時を回想する、というスタイルで書かれているのですが、それもあってか、宗教的雰囲気のある作品でとても感動しました。
40年後に事件のその後も語られていて少しだけ落ち着けました。

心に残るいい小説でした。

全米4大ミステリ賞で最優秀長篇賞を独占、というのもうなづけます。

 

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コメント

tina様
気に入った本に、同じように感動なさった方が反応してくださるのは嬉しいことで、つたない文章でも、ブログを書いていてよかったとおもうときです。
この少年の父親、本当に素晴らしい人ですね。こういう人に接することができていたら私も信者になったかもしれません。 
タブッキは初めてで、何冊か須賀敦子さんが翻訳していらっしゃいますね。それでどんな作家か気になっていて須賀訳ではありませんが、読んでみたわけです。
なんだかシュールな感じで 面白いのだか面白くないのだか、よくわからないまま、でも読みにくくはないので一応最後までよんで、最後のシーンで、ああやっぱりいいな、と思った次第です。
この作家をまだよくつかみきれないので、『遠い水平線』を借りました。

「ありふれた祈り」私も読んで心に残る本だと思いました。本を選ぶガイドにしている書評で評価が高かったので。ミステリーというより文学作品ですね。たいていミステリーは読み捨てにするのですが、何だか手放しがたくて取ってあります。同じ本に感激された方に出会えるのは嬉しいです。

タブッキの「イザベル・・・」も読みましたが、これはイタリアの小説はなるべく目を通すことにしているからで、タブッキはちょっと苦手です。心に残る作品もありますが。

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