本二冊 『モンテレッジョ 小さな村のする本屋』『夢も見ずに眠った』
感想、というほどではないけれど、心覚えに読んだ本のことを書いておきます。
『モンテレッジョ 小さな村の旅する本屋の物語』内田洋子著 方丈社
しばらく前の映画 「マイ・ブックショップ」についてkikuko様がおかきになっていらしたブログで知って買いました。
読だのは2か月以上前です。
著者は ヴェネツィア在住のジャーナリスト。観光客であふれるヴェネツィアでいつしか時折通うようになった地元の気心の知れた人たちから便利に利用されている古本屋。その店主から、自分で四代目でモンテレッジョという山村の出身だという話を聞きます。祖先はみな本を売り歩いて生計を建てていた、というのです。本の行商?
モンテレッジョを訪ね、村を歩き、なぜ本の行商をはじめるようになったのか、といういきさつから、現在村を出て各地で本屋を開いている人を訪ねたことなどが書かれています。
カバーをとったところ、こんな山奥の村!

行商人の扱うものは石及び雑貨、最初は本ではなく聖なるお札だったそうです。本屋に入りにくい庶民が好むような本が多くあつかわれていましたが、通行証が「石売り」だったため、政治家や革命家の政治理念をまとめた本が売れるとなると、石の下にこれらの本を隠して各地に届けたこともあったとか。
零細な行商人にとって、売れるか売れないかの判断が非常にに大事なものになるのですが、その嗅覚がすぐれていて、出版社は売れるか売れないか 行商人にまずゲラを読んでもらってから本に刷るかどうかを決めるようにもなってきた、という話も驚きですが、なるほどという気もします。
1952年には各地で本屋を開いていた村人たちが本屋週間を開き、(その後毎年続けている)その時露天商賞の創設も決めています。
第一回の受賞作が ヘミングゥエイ の『老人と海』(ノーベル賞受賞より前)だったそうです。
日本でも最近本屋大賞というのがありますが、これにならったのでしょうか。
読書人口が減っているのに刊行数が増えていることについての出版事情、またインターネット書店についても書かれていました。
本屋さんは私にとってワンダーランドだったのに、現在では本屋に足を運ぶことはなく本の購入は殆どインターネットすませるようになっています。
でもこの本に出てくるビエッラの本屋さんをすてきな本屋さんと思うだけでなく、私たちが本屋さんを大事にしなければいけないのだ、ということもおもいしらされました。
本好きには貴重な一冊、随所にはさまれている、少しくすんだ感じの写真も気に入りました。
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『夢も見ずに眠った』絲山秋子著 河出書房新社
図書館から用意ができた、という知らせに、どうしてこれを予約したのかは思い出せなかったが、たぶん新聞の評がよかったからだと取りに行きました。
作者は絲山秋子さんは芥川賞作家(申し訳ないことにしりませんでした)
内容は ある男女の24年間(最後の 2022年は近未来)の軌跡です。表紙の 男女が踊っている 絵がいいです。
孝之と沙和子は大学の同級生、1999年大学卒業、当時もすでにそうだったのか、就職氷河期。しっかり者の沙和子は銀行に就職したが、孝之は学校職員となり、それも3年で辞めてしまいます。孝之はどこか、浮世離れしているというのでしょうか、カブトガニの博物館に行きたがったり、車で動き回って古墳に感動したりするような人間です。
そういう孝之に沙和子は「プロポーズして」 というのです。
結局 失業したままの孝之は農家の一人娘である沙和子の家の入り婿になるのです。熊谷の沙和子の家の離れに暮らし、非正規の職に着きます。
ところがほどなくして沙和子が札幌に転勤になります。子供がいない夫婦の別居生活、それも妻の実家に住んでいる、ノホホンとした感じの孝之もいつしか鬱病になってしまうのです。もちろん沙和子は心配します。そうして何年か過ぎ、ほぼ病気もなおったころ、孝之は離婚を決意するのです。別れたいわけではなく、これ以上理由のないことをつづけてはいけないのだとおもったのです。なんとしてでも一緒にいたいという気持ちをなくしてしまったからなのか。
沙和子は〈まだ優しさは残っている。通わせることができなくても気持ちはある。ただ、どうしようもなく生きるスピードが違う〉ことを感じています。
離婚してそれぞれ新たな生活に入りそれぞれ新たな出会いもあるのですが、それでも二人は、何かの折に相手を想い、会う機会もあります。 そうして 近未来の2022年、物語の始まりと同様 岡山へ旅行します。このラストにホッとさせられました。
話の中でよく自分たちにはロールモデルがない、と言うところがあります。二人の設定はやや特殊ですが、こういう男女の関係も女性が経済力をもつようになった現代ではあり得るでしょう。そういう点でも面白いと思いました。
旅行場面がよく出てきます。特に江差に行くところなど、去年行ったところなので懐かしい気持ちで読みました。旅ものとしての面白さもありました。
いい小説でした。この作者の本、また読んでみたいと思います。




















































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