映画「ポルトガル 夏の終わり」
去年公開された映画で観にいけなかったものですが、ユーネクストにあがってきましたので、さっそく観ました。ポルトガルのシントラという町が舞台です。
ポルトガルというとマヌエル様式のごてごてバロックを思い浮かべ、ロマネスクびいきの私は腰が引けてしまいます。そういうわけで行きたいと思ったことはずっとなかったのですが、何年か前に「リスボンに誘われて」という映画をみて、行ってみたいと思うようにはなりました。でも果たせないまま。ここも行かずじまいになることでしょう。
映画の舞台、どこもとても美しくて、行けないまま終わることをとても残念に思いながら観ました。
映画『ポルトガル夏の終わり』公式サイト (gaga.ne.jp)

女優フランキーは夏のバカンスに、ロンドン、パリ、ニューヨークに住む家族や友人を呼び集めます。
実は彼女は癌が全身に転移していてもう長くは生きられないのです。集まったのは彼女の元夫ミシェルと、二人の間の息子ポール、現在の夫ジミーとその連子と夫と娘(義理の孫娘ということになる)それとヘアメークアップアーティストで友人のアイリーン。アイリーンは撮影監督の恋人を伴ってやってきます。
シントラの町は坂道や階段が多そうです。坂の途中の水飲み場でジミーがお水を飲んでいます。この水を飲むと恋愛が成就すると言われている噴水です。(ちょっと意味深)↓は アイリーン

シントラという町は王宮のある町で時々宮殿の塔がみえかくれします。然しそういう名所案内的なところはなく自然が舞台です。フランキーは住まい(貸別荘のよう)の近くの森を散歩しています。魅力的な小道です。途中で住民の80歳の誕生日パーティにいきあわせ、誘われてテーブルに着きます。女優だということがわかってくれてうれしそうですが、長くはない命を思ってか少し複雑。

家族の会話からフランキーの性格が分かってきます。家族は自分の思い通りにうごくものと考えているようです。いい年をしてまだ結婚していない息子ポールlとアイリーンを結び付けようとしています。(母親として気になりことはわかりますが、 息子にとっては余計なお世話ですよね)でも思い通りにはならないようです。
ジミーの連れ子夫婦は離婚しようとしています。それが嫌で娘のマヤは1人で海に行きます。そこで知り合った少年と意気投合しているようです。
(自分が牛耳らなくては気が済まない人ですが、家族は それぞれ自分の世界を持っているのです)
マヤのいくこの海がまた美しいのです。

この映画は特に何か事件が起こる、というような映画ではなく、会話をとおしてフランキーの、また家族それぞれの姿を浮き彫りにさせる、といったもので、一族の仲が良いとか悪いとか、だからそれがどうとか言うものではなく いささかアンニュイを感じさせるような少し寂しい、人の営みを描きだしている映画だと思いました。
最後に夕方全員で山に登ります。フランキーは癌なのに、よくあそこまでのぼっていけたな、とこれはちょっと不思議、私なら無理!と思うような坂道です。
先の上にいるフランキー

ここでジミーがアイリーンにマフラーをまいてあげるところをを見ています。自分の思い通りにはうごいていかないことを悟ったのでしょうか。

でも夕日に照らされた海の美しいこと!

こういう自然は人間の営みのもろもろを抱きとめていやしてくれるのでしょう。みおわって山からおりてくる人たち、遠景でよくはわからないのですが、もとのさやにおさまって語らいながらおだやかに歩いているようにみえました。明日になると又それぞれのおもいにしたがって行動するのでしょうけれど。
シントラという町の魅力におうところが大きい映画だと思いました。
ドラマティックなところがなくて少しものたりない気もしましたが、でもこれはこれでいいかな。
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Ayako様
恥ずかしいです、偏見と独断的解釈に満ち満ちた感想に。 本の感想もそうですけれど。
イザベル・ユペールさんの主演作品を観るのは、実はこれが初めてです。 知的な雰囲気で 素敵な方ですね。フランキー役にあっていると思いました。
ところで『春にしてを離れ』、そういう作品もあったな、という程度で よくおぼえていませんので早速ポチリました。いつも Ayako様のおかげでよい本が読めてうれしいです。 又 読まれた本がありましたらご紹介くださいませ。
投稿: yk | 2021年4月 6日 (火) 15時14分
こんばんは!さすが、深いです!
だから、緑の風さんのブログはとても面白いので大好きです。
「人生の黄昏時になって知る残酷さ、みたいなもの」、う~ん、見抜けませんでした。。。
この視点、私にとって、今、ちょっと、キーポイントになりました。
そういえば、中学生の頃、推理小説が好きでアガサクリスティーの文庫本を図書館で借りてよく読んでいました。その一冊に、「春にして君を離れ」という題のものを読んだ時に、「なんなのだ?これは???」と、衝撃を受けたものです。
すっかり大人になった今、あらためて読んでみたいと思いました。
これだから、緑の風さんのブログを読むのはやめられない。。。
有難うございます!!!
投稿: Ayako | 2021年4月 5日 (月) 20時10分
Ayako様
旅行しておりましてお返事がおそくなってすみません。
この映画、 ちゃんと劇場公開時にご覧になられたのですね。
タイトル名、 日本語訳がどうも、というものもよくありますよね。
フランキーとマヤの人生の対称性も描きたかったのだと思います。
でも私には人生の黄昏時になって知る残酷さ、みたいなものが際立っている印象が強かったです。
最後、 山の場面、 先に来たフランキーがまるで睥睨しているかのように下界を見下ろしているとき、見てしまった光景。息子と結婚させようとしていたアイリーンに夫が優しくマフラーをまいてあげている!
すでに息子に結婚を拒否され、 80歳の老婦人の誕生日祝いに招かれ、と苦い思いを重ね、最後の最もショッキングな一打。
誇り高い彼女は自制心をとりもどしたようですが、それを見つめる双眼鏡で見ている元夫。
観客、という目があるのに、これは余計では? とおもったのですが、、、。
呼ばれてやってくるのですから、ミシェルはフランキーになんらかのおもいはあるはずです。 恨み、 非難だけ?彼女のおかげで 女性を愛せなくなったのでしょうか?
ラストの光景の美しさでおさめていますが、細かいところは観客に投げているところがある映画だな、という気がしました。(義理の娘夫婦のいざこざなど少し盛り込みすぎ)
投稿: yk | 2021年4月 4日 (日) 17時22分
こんばんは。私は、2~3年程前から、女優のイザベル・ユペールさんが好きです!
原題は『Frankie』なので、邦題が『ポルトガル、夏の終わり』となっているのが、なんだか説明的だと思いました。
情熱的に激しく生きたフランキーの人生の夏は終わろうとしている一方、義孫のマヤは、これから始まる輝ける人生の夏への扉を開けようとしている。
人々の営みや命を超えて、シントラの自然の圧倒的な美しさが迫ってくる。
いいなー、この映画、と思うのです。
投稿: Ayako | 2021年3月31日 (水) 20時00分