ミステリーを二冊『風の影』『夜のエレベーター』
最近読んだ本を二冊。
この前読んだ『すべての見えない光』があまりにも感動的でしたので、次の本をなかなか手にとることができなかったのですが、注文していた本がたまってきています。
『風の影』カルロス・ルイス・サフォン著 集英社文庫

なぜ、これを注文したのでしょうか? 多分面白そうなミステリー、と思ったからでしょう。
1945年、バルセロナを舞台に繰り広げられる小説です。
読み始めて最初三分の一くらいまでは『すべての、、、』との落差に、読むのは時間の無駄、やめよう、と何度か思うったのですが、上下二冊とも買ってしまったので、もったいないと読み進めていくうちにだんだん先が気になって結局最後まで読んでしまいました。
バルセロナのある古本屋の息子ダニエルは もうすぐ11歳になろうとするある日、父に連れられて「忘れられた本の墓場」という古い宮殿のようなところへ連れられて行きます。迷路のようなところにおびただしい数の本がおかれています。そこで一冊の本を選ばされます。
選んだ本はフリアン・カラックスが書いた『風の影』という本でした。彼に選ばれるのを待っていたかのように思われ、一気読みします。著者について知りたいと調べるのですが、他にこの著者の本をみつけることはできないし、この本もたった一冊しかないようです。
調べているうちに起こる出来事、本の内容ダニエル自身に起こる出来事がなんだかだぶっているようです。読んでいてわけが分からなくなってきました。ダニエルとベアトリスの恋愛とフリアンとペネロペの恋愛が重なります。
迷宮のような本の墓場といい今は廃墟となっているベアトリス・アルダヤの屋敷といい、どこかゴシック的。
主な出来事は1934年から1954年のことなのですが、そのころのスペインは内戦があり、その後フランコ独裁の時代です。警察が幅をきかせていて、フリアンに恨みを持つ不メロ刑事部長がフリアンにかかわりを持つ人間を容赦なく引っ張っていきます。
スペイン、バルセロナに関心のある方はより興味深く読めるかもしれません。
よくイタリア・スペインって同じラテン系のせいかひとまとめにして言われたりしますが、スペインはやはり重いですね。
すぐ続けて読んだのが
『夜のエレベーター』フレデリック・ダール著 扶桑社文庫

これは傑作だと思いました。巻をおく能わずの面白さ、短いので2時間足らずで一気読み。
カバー裏の紹介から
「ぼく」は6年ぶりにパリに帰ってきた。ともに暮らしていたママは死んでしまい、からっぽのアパートは孤独を深めるだけだった。だが、今日はクリスマス・イヴ。にぎわう街の憧れの店へ食事に入ると、小さな娘を連れた美しい女性に出会う。かつて愛した人に似た、若い母親に、、、、彼女がおもいもかけないドラマへと「ぼく」を導いていく!
六年ぶりに帰ってきたアパートで死に目に会えなかった母親のことを思い、街に出る「ぼく」の悲しみ、パリ郊外の街の描写。読み終えたばかりのスペインの小説とは違っていてやはり、これはフランスの小説、どこか洒脱な感じがします。でもミステリーのはずなのに、、、。
特に視線をからませたというほどでもないはずなのに、女性の家にいってしまう。電球の切れた暗いエレベーターで彼女の住まいに上がってコニャックを一杯、これってロマンス小説?でもこれも気になります、ロマンスが始まったような、、、ところがところがやはり事件は起こっているのです、えっ?えっ?
否応もなくまきこまれてしまった「ぼく」の経歴は?そうして宙吊りにされたようなラスト!
ともかくうまくできた小説だと思いました。
好みはあろうかとおもいますが、おすすめの一冊です。
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aiai様
『風の影』aiai様ならよんでいらっしゃるのでは? と思っていました。四部作というはなしですが、次を読もうという気はおきませんでした。
『見えないすべての光』があまりにもよくて他の本がすべて 読む価値がないものに思われているところです。
それで今は小説ではなく『宮廷女性の戦国史』という後宮の女性がいかに重要な役割をになっていたかというよみやすい研究書てきなものを読んでいます。読み始めたばかりですが、かなり前に読んだ『古代の女性官僚』という奈良時代の采女などのことを書いた本の方がおもしろかったかな? という気がしています。
実はアン・クリーヴスも買おうかな? とおもって先日アマゾンで調べたところですが、四つの季節、四冊は読んだけれど、はて その次どこまで読んだか思い出せません。文庫本は本棚に二重につめこまれていて簡単にはみつけられないのです。北欧、アイルランドなど北が好きな人間はシェットランドという地名をきいただけで読もう! という気持ちになります。
投稿: yk | 2023年2月 2日 (木) 17時59分
「風の影」は、10年くらい前に読んだ記憶があります。今、憶えているのは舞台がバルセロナだということと少年が主人公だったということくらいです。これは、四部作の第一番目だそうですが、私は、一番目を読んで止めたようです。「すべての見えない光」のような印象深い作品を読むと、しばらくその余韻に浸っておりますので、次の本を選ぶのが難しいですね。私は、同じ作者の「メモリーウォール」をかなり無理をして探して入手しました。絶版になっているのです。6つのお話の入っている短編集です。同じ作者とは思えない全く違った趣の作品です。私的に好みではなくて、苦労して3作読み終わりました。SFあり、場面設定が不思議な小説ありで、戸惑います。今、休憩中です。気分転換にアン・クリーブスの「炎の爪痕」を読んでいます。シェトランドシリーズの最終章だそうです。安定した書きぶりです。つい、映像化されたペレスを思いながら読んでしまいます。一定のレベルを保っている作家は、安心して読めます。
投稿: aiai | 2023年2月 2日 (木) 10時27分