チャン・イーモウ作品 「SHADOW/影武者」
kikuko様がブログでご紹介くださった、チャン・イーモウ監督の「影武者」をアマゾンでみました。
「SHADOW/影武者」
「HERO」「LOVERS」同様、武侠映画 です。
この二作がゴージャスなカラー映画だったのにたいして「影武者」は白黒なのが新鮮で見入りました。
顔や手足の肌だけは色がついていました。色がないだけ、緊迫感が高まります。

公式ホームページの紹介より
時は戦国時代、沛(ペイ)国が領土を敵の炎国に奪われて20年。若くしてトップを継いだ王は、敵と休戦同盟を結び、平和だが屈辱的な日々に甘んじていた。奪還を願う男たちの燃え上がる闘志を束ねているのが、頭脳明晰で武芸の達人の重臣・都督(トトク)。都督は敵の将軍にして最強の戦士・楊蒼(ヤン・ツァン)に、手合わせを申し込む。彼の勝手な行動に怒り狂う王だが、実は目の前の都督は彼の影武者で、本物の都督は自分の影武者に自由になることと引き換えに敵地での大軍との戦いを命じていた。果たして、影武者を待つのは光か闇か、それとも──?
三国志の荊州争奪戦をもとにつくられたそうです。影武者は荊州からつれてこられたので境州という名前です。
中国の地理に全く不案内です。2019年に東博で「三国志展」が開催され、私は関心がなかったので行きませんでしたが、テレビで繰り返し「レッドクリフ」をみていた主人は出かけて図録も買ってきてあります。
その図録から地図をお借りしました。赤壁のあるところのようです。

(公開済み作品ですので、以下ネタバレにかまわず書いています)
都督は境州を訓練します。(上写真)竹の棒と番傘を使っての訓練。これに都督の妻も加わります。(番傘って三国志の時代にあったのかしら?なんて言ってはいけませんよね)
最初の写真の地面に描かれているのは太極図というそうです。
都督夫妻は深く愛し合っているようです。二人の琴の合奏は凄まじいものがありました。
映画では琴は前の台にのせらていましたが、実際はこの時代の琴はもう少し小型だったようです。
図録より(重慶出土、2~3世紀 石製 奏琴俑)

都督が境州に施す訓練は厳しいものでしたが、舞うが如くで美しかったです。
別動隊で100人の死刑囚を使っての荊州争奪作戦も企てられています。
そうしていざ狭い谷間での楊蒼と境州の対決、足元にはここにも太極図が描かれています。陰と陽を表すそうで、炎の国が陽、沛が陰のようです。影武者は影から出て光の当たる場所に出られるのでしょうか?

境州はやはり傘をもっています。
別動隊(100人の死刑囚からなる)は城中に攻め込みます。ここで唖然としてしまいました。
彼らは傘をもっているのですが、仕込み杖ならぬ仕込み傘ともいうべきか、骨が鎌になっているのです。

これを一斉に開く様子をみて、私はこれでは漫画!だと思ってしまったのです。
敵を攻撃する武器であるはずですが、持っている本人、またすぐそばにいる仲間を傷つけるのではないかと気にもなりました。
ここまで保ってきた二人、あるいは三人の間の緊迫感がこれで台無しです(そういえば水に潜って行くところから、あれっと思いましたが)。
よく知りませんが昔の戦いは勇将の一騎打ちというところと大勢が入り乱れての戦いと両方あったのではないかと思われるので、この場面も大事なのだとは思いましたが、これで美学が崩れてしまった気がしました。
チャン・イーモウ監督にこれまで注目してきたわけではなく、今回「崖上のスパイ」をみてほかの作品も見る気になりました。そのとき参考にしたのがWIKIの同監督のページです。受賞歴のある作品から選んで「HERO]と「LOVERS]を観たわけです。「影武者」には受賞歴がなくて、気が付きませんでした。
(訂正 見落としていました。2018年 ヴェネツィア交際映画祭で「監督ばんざい賞」というのを受賞していました。)
なぜ受賞歴がないのか分かりませんが、前半の美学が後半になって消えて生臭い話になってくるところが、問題点かな?と勝手に解釈しましたが、どうでしょう。私は映画の観巧者ではないので、まとはずれなことを言っているのだとは思いますが。
実はストーリー的にはこのあと面白くなるのです。
都督の妻が最後に外を覗き見ておののく場面が印象的でした。
この映画、前半は非常に映像的に美しく、琴の音も効果的で魅力的でしたが、後半で???。私は三作品の中で「LOVERS」が一番気に入りました。
三国志を扱った映画、ドラマは多くあるようです。見たくなりました。
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