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2023年4月29日 (土)

根津美術館と国立近代美術館

一昨日(4月27日)は美術館をはしごして疲労困憊。折角東京に出るのだからと欲張ってはいけない年齢なのです。

コロナ前からも一部はそうでしたが、美術館は前もって日時指定予約になっています。
チケットはスマホにはいっていますが、用心のため印刷もして持っていきました。
根津美術館は10:00~11:00(この時間内に入場すればよい)近代美術館は13:30 に予約しました。40分あれば待ち時間こみで楽に移動できそうですから、これなら間でお昼も頂けると思っていました。でも誤算でした。

家から根津美術館のある表参道までは1時間と少し、と見積もっていましたが、1時間40分かかりました。家を出るのも8時半のつもりが9:00になりましたし。 

コロナ籠りから解放されたからか、人出が多く電車が結構込んでいて品川まで座れませんでした。そのせいか美術館に着いた段階でもうクタクタ。すぐ見始めることができず、しばしベンチに座り込みました。(なんだかグチばかりですね)

根津美術館(10:55~12:45) 

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この美術館では毎年、庭園の池に燕子花の咲く時期に所蔵の「尾形光琳の杜若図屏風」が展示されます。私は以前、メトロポリタンにあるもう一つの燕子花屏風の里帰りで一緒に展示されているときに見たことがあります。主人は出張の際、メトロポリタンの絵はみたことがあるそうですが、根津美術館には行ったことがないので、今年は行くことにしたのです。 

11:00入場を待つ人で入り口はごった返していましたがもちろん私たちはすぐは入れました。

主人はイヤホンガイドも借りて丁寧に見ていってます。

1階が 特別展です。

燕子花図 パンフレットは右隻ですので、左隻

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合わせればこうなります。屏風ですから伸ばした状態ではなく折って立ててありました。

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両帝図屏風」 狩野探幽画

舟と車を作って難所を克服した黄帝と、琴を弾いて天下を治めた舜を描いています。中国の皇帝を描くなんてこともあったのかと少し驚きました。

 

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楽しい絵だと思ったのは
伊勢路参宮道中図屏風 京から伊勢への道中と伊勢神宮が描かれています。
↓大津、家の中で大津絵を描いている人、売っている人がいます。

外で23042901

「西王母図」 清原雪信
以前、葉室麟『乾山晩愁』という中編小説集を読んだことがあります。その中に「雪信花匂」という一篇がありました。 
名前をみて、ああ、あの人だと気が付きました。狩野派の女流画家です。恋愛事件で話題になった人らしいです。家に帰って 小説を読み返しました。
っそういうわけで関心を持って眺めました。残念ながら写真がないのですが、やさしい感じのする絵で、気に入りました。
西王母は中国で古くから信仰された女神だそうです。

大津絵、というのもありました。

勿論、光琳の燕子花も観て上の階にある大好きな饕餮も見に行きました。紀元前10世紀ごろの青銅の酒器、あるいは祭祀の用具。
それにかわいい 双羊尊(紀元前13~11世紀)にもご挨拶。
饕餮などは2015年5月のblogに写真をのせましたので、今回は省略。

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ホールの仏像も好みです。

北魏時代(6世紀)の仏碑

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それからお庭に実物の燕子花を見に行きました。
ここでもう12:15 近代美術館に移動するために、12:45にはここを出なければなりません。
少し急ぎました。

飛び石だったのが敷石に変えられて歩きやすくなっていました。

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燕子花は真っ盛り、見事に咲きそろっていました。

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気が付くともう12:40、上に上がって(池は谷底のような低い位置にあります)12:45 美術館を出ました。

行きにも気がつきましたが、美術館から地下鉄・表参道駅(A5出口が近いですが、階段です)への道、以前はレストランがいくつかあったのですが、現在は小さなお店は全くなくなり、ビルばかり。ヨックモックの青い建物が目を引きます。奥にカフェテラスが見えて、あと30分、時間があれば寄るのに、と残念な思いをしながら通り過ぎました。

国立近代美術館のある竹橋までは半蔵門線で九段下まで行き、東西線で一駅。ところが九段下で迷ってエレベーターであがったりおりたり。余裕で着くはずが5分ほど遅れました。 

国立近代美術館

先ずはレストランと、おもったら、もう「予約でいっぱいです!」仕方がない、おなかをすかせたまま観る以外ありません。

特別展は 東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密 です。

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まず最初は 横山大観の「生々流転

山奥の一滴の水が渓流となり、大河となって海へ注ぎ、嵐とともに龍となって天へ還る、という水の輪廻を表した。水墨絵巻。長さが40メートル、細長い巻紙に描かれているのを眺めました。

残念だったのは 展示期間が過ぎていて福田平八郎「漣」が見られなかったこと。

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(美術館のホームページから写真拝借)が好みなだけでなく氏のお墓が法然院の谷崎の横にあったので、より興味があったのですが。

カメラ禁止サインがないものは写真OK でした。 

こういう絵は なんだか懐かしい気がします。

黒田清輝 「湖畔」

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岸田劉生「麗子微笑」

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今村紫紅(18880~1916)知らない画家でしたが、夭折の画家。インドの絵が多く、また近江八景も印象に残りました。 左が堅田

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この特別展のチケットでMOMAT展(所蔵作品展)が観られます。実はこちらの方が楽しかったです。

パウル・クレーがかなりありました。これは面白い

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北川省三 モビール・オブジェ (風でもあてて回してみせてほしかった!)

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草間彌生 天上よりの啓示

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春の屏風まつり

広いお部屋に大型の屏風が展示されていました。
屏風、というのはその昔は生活につかわれましたが、今では使われません。でも画家は現代でも書いています。その理由がホームページで述べられていました。
屏風を生活空間で使っている人は、近代以降は少数派でしょう。なのに画家たちが好んで屏風に描くのは、(1)画面が大きいから、(2)収納が便利だから、(3)屏風のジグザグの折れに独特の画面効果が望めるから、だと言えます。とくに(3)が面白くて、屏風の屈曲の効果によって奥行きや動きが生まれるのを、うまい画家はちゃんと計算に入れて描きました。そう、屏風はただの平面ではないのです。では実際にどんな奥行きや動きが生まれるのか。それを見て取るには、枝をひろげた樹木は初歩的かつ最適な主題です。

菊池芳文 「小雨ふる吉野」1914年

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屏風を折る(折るというのが正しい表現かどうか分からないのですが)ことによって木が奥に伸びている感じが表されているように思います。

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跡見玉枝「桜花図屏風」1934年

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屏風を折ることによってこの枝の折れも面白くなっています。

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一段と華やかな絵は
船田玉城「花の夕」1938年
これは以前、 練馬美術館で見たことがあります。

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加山又造 「春秋波濤」 1966年

とても面白い描き方です。波の間に浮かんでいるのが桜咲く春の山と、紅葉の秋の山、もう一つは松の山だそうです。
室町時代に描かれたやまと絵の作例を見て、一つの画面に様々な季節が同居するこの作品を着想したそうです。
技法を観ると、拝啓には金や銀などの箔を細かく切って散らす、「切金」や「切箔」、桜には型紙を使って砂子を撒いた跡が認められます。多彩な技法によって、モチーフと地を均一に覆うことで、実在する景色とは全く別の生気に満ちた華やかな絵画世界を生み出しています。(解説より)

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kikuko様がこの絵をブログで紹介されていて、是非とも見たいとお澪ったのがこの展覧会に来ることにした理由です。
kikuko様によりますと、この波間に山が浮かんだような図は河内の金剛寺が所有する「日月山水図屏風」にインスパイアされたそうです。この秋、東博で展示されるそうなので、見に行きたいと思っています。

15:10過ぎに美術館をでて、地下鉄にのるのに、ビル内を抜けて行こうとしたら、おうどんやさんがみつかったので(ものすごくお安い)おうどんで遅い(15:30過ぎ)お昼にしました。もうくたびれて駅構内を歩く元気もなかったのでタクシーで 東京駅まで行き、横須賀線で(遠い方の)最寄り駅へ、そこから家までもタクシー。健脚なはずの主人も今日は疲れたを連発していました。京都を一日歩き回るより疲れました。
日時指定は混雑を避けるには良い方法ですが、先にチケット代も払ってあるので予定変更がためらわれることが難点だと思いました。

 

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コメント

kikuko様
手帳を手になさるまでのお苦しみに思い至らず 大変失礼いたしました。
ご旅行中、手摺の無い階段などで諦めていらっしゃる場面では さぞかし残念な思いをされていらっしゃることでしょう、と思いながら読ませてはいただいておりましたが、それにいたるまでの御病気のことには思いが及びませんでした。
それにしてもそういうおみ足でいらっしゃりながらの行動力には感服させられます。気持ちの持ち方のレベルが違います。
私は不整脈で動けなくなる頻度がこのところ増してきて(ただお薬が効くこともわかりましたが)一人での外出を躊躇するようになってきています。起こった時を考えると10分以内に座れる場所がみつけられるところしか一人では行きたくありません。

 思い出すのも辛い日々を耐え忍ばないといただけない手帳です。いまは簡単な手術になったので、人工関節では手帳はいただけません。両足で10週間の入院と阿鼻叫喚のリハビリ、2年半の通院の結果ですから、そういう羽目に陥らない方はお幸せです。耐用期限があるので、再置換になる前に・・・と願っています。

 伊勢丹の情報ありがとうございました。オンラインには登録していたのに気がつきませんでした。

kikuko様
私も障害者手帳ほしいです。予約なしでフリーパスなら思い立った時すぐでかけられますね。うらやましい限りです。私はいつどこで起こるか予想のつかない不整脈を心配しながらの外出です。
東博は上野駅からのタクシーも便利で行きやすくて助かります。

 「乾山晩愁」は未読でしたので、図書館にリクエストを入れました。秋の東博のやまと絵の展覧会は楽しみですね。HPの出展作品一覧を眺めて、前後期とも行こうと意気込んでいます。

 私は1日で大規模な展覧会を二か所は無理です。内緒にしていますが、障害者手帳を持っていると、国公立の博物館・美術館は予約なしで入れるのはありがたいと感謝しています。「浜松図屏風」は何度でも見たいし、未見の屏風もありますし。

 

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