『ああ、ウィリアム』 エリザベス・ストラウト著
aiai様が教えてくださった本を読みました。
『ああ、ウィリアム』エリザベス・ストラウト著 ハヤカワ書房
ルーシー・バートンと夫元のウィリアムは、離婚してからも穏やかな付き合いを続けていた。
ある日、亡き母の秘密を知って動揺するウィリアムに助けを求められ、ふたりは短い旅に出る。
家族という、時に厄介で時にいとおしい存在は何なのか。結婚とは、人を知るとは何なのか。
静かな感慨に満ちたブッカー賞最終候補作。(帯裏より)
ウィリアムはこの小説の語り手ルーシー・バートンの元夫で現在彼は72歳、ルーシーより7歳年上です。
ウィリアムは寄生虫学者で講義はしないものの今も大学の研究室に行っています。
ルーシーは作家。ルーシーの学生時代に出会って20年におよぶ結婚生活。二人の娘も得ていますが、離婚。それぞれ相手がいたようです。しかしながらお互い憎みあって別れたわけではなさそうで、その後も交流はあります。
その後ルーシーはチェリストと結婚。
ウィリアムはジョアンと結婚・離婚の後、エステルと結婚、娘も一人います。ほかにも色々女性関係もある人のようです。
ルーシーとは、カフェで飲みながらおしゃべりをしたりします。
ウィリアムという人、ルーシーから見ると、立派な好人物らしい態度の下に、いじけた駄々っ子が隠れている、ということになります。
オンラインで先祖の家系を調べられるサービスのある、プレゼントを誕生日にエステルからウィリアムはもらいます。
エステルは出て行きます。別の相手をみつけたようです。
そうしてウィリアムには母のキャサリンがらみで夜の恐怖がでるようになったのです。
それを聞いてルーシーは自分の家族を思い出し、、、。
想いが飛んでいくままに、時間軸に関係なくといった感じで短いセンテンスでつづられて話が進みます。
そうして二人のこれまでのことが明らかになっていきます。ああ、この感じ分かる、というところもあって興味深く読めました。
描写も納得のいくところがいくつか。子供時代がカーテンのようにおちかかってくることがあった、などというところ。
最後も良かったです。美術館の光のところ。(詳しくは書きませんが)
ウィリアムに対する深い理解、やさしさが感じられる、つまりはルーシーの心映えの良さが感じられて気持の良い物語でした。
この作者の本、もっと読んでみたいです。
ご紹介くださったaiai様に大感謝です。
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