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2024年6月24日 (月)

『オリ-ヴ・キタリッジの生活』

エリザベス・ストラウトの本をもう一冊読みました。

オリーヴ・キタリッジの生活』 エィザベス・ストラウト著  ハヤカワepi文庫 

24062401

表紙裏の紹介から
アメリカ北東部にある小さな港町クロスビー。一見何も起こらない町の暮らしだが、人々の心いは、まれに嵐も吹き荒れて、いつまでも癒えない傷跡を残して行くーー。
住人のひとりオリ-ヴ・キタリッジは、繊細で、気分やで、傍若無人。その言動が生む波紋は、ときに激しく、時にひそやかに周囲に広がっていく。人生の苦しみや喜び、後悔や希望を静かな筆致で描き上げ、ピューリッツアー賞に輝いた連作短編集。

クロスビーは架空の町ですが、メイン州にあることになっています。
メイン州の海辺、といえばかなり以前に観た「八月の鯨」という映画を思い出します。
私はアメリカには行ったことがありません。行けたとしたらこのカナダに近い北東部に行きたかったです。

クロスビーという小さな町で起こる様々なことが描かれるのですが、オリーヴ・キタリッジは元中学の数学教師。三十年も教師をしていたので、町のかなりの人が教え子、ということになります。慕われていたというより、多分先生として寄りかかれる存在だったのではないでしょうか。

元々背は高かったのですが、徐々に太ってきて、かなり大女のようです。

最初は時々顔をみせる程度だったのが後の方は彼女の物語になっています。
ルーシー・バートンものとはかなり雰囲気が違います。

圧がものすごく強いのです。ある時、夫のヘンリーに言われます。「結婚してからずいぶん長いことになるが、それだけの間に、おまえからあやまったということは一度もないな」。

夫のヘンリーは薬剤師でおとなしく心優しい人のようです。
第一話「薬局」 は経営している薬局の店員デイジーに密かな思いを寄せる話、とてもよかったです。全体の中でこれが一番好きでした。

後に行くほどオリーヴの毒が強くなって、最後は投げ出したくなりました。 
父親がなくなってからのようなのですが、息子に対する独占欲ともいうべきものがとても強くなります。息子の結婚相手が気に入らないからと言ってあんなことをするなんて。自分自身の品位を保つ、という考えはなさそうです。
自分自身でもどうにもならないのでしょう。 
この小説には そういう自分自身ではどうにもならない人々の哀しさ、喜びが描かれています。
誰にも多かれ少なかれある気持ちですが、それを外に出すか出さないかは人それぞれ。出されると厄介です。 

年のせいか、少し私には荷が重い小説でした。

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コメント

aiai様
 グレンダロッホ、 あの初期キリスト教遺跡、いいですよね。 
 2002年でしたか、行ったときは無料だったとおもったのですが、 19年には聖ケビンの家が有料になっていたのに驚きました。
 あの湖の周りって一周できる道があったのですか!
私は行って湖畔でしばらくたたずんだだけでした。19年のときは 映画「ブレンダンケルの秘密」を観たあとでしたので、 映画を思い浮かべながら植物をながめたことを思い出しました。
ただ2002年より入り口辺たりに物売りが出ていて、 言い方が悪いですが 俗化した という印象でした。

スミマセン。初期キリスト教の遺跡は、コーズウェイじゃなくて、グレンダーロッホでした。もう、この頃少し時が経つと名前がごっちゃになってしまって、困ります。グレンダーロッホでは、湖の周りを頑張って一周したので、疲れましたが、満足感が増しました。講師の渡辺先生も頑張って歩いて完走?しました。今回残念だったのは、パブに1回しか行かなかったことです。もっとアイルランド音楽を堪能したかった。

aiai様
アイルランドにいらしたのですって!緑の美しい季節、すてきだったでしょう。
私がBelfastに行ったのは2002年、まだ北に行けるるようになって間もない頃でした。カトリックとプロテスタントを頒かつピースウオールがあったり、建物の壁に亡くなった人を偲ぶ絵が描かれていたり、まだまだ南北分裂の様子を物語るものが多かったのですが、今はどうなのでしょうか? 
それにしてもアイルランド北西部の緩やかな丘の美しさ、今も脳裏に焼き付いています。
又あれが見られたら、、、。でもいもう遥かに想うだけです。あの景色を観られたことに感謝して。
5年前に行ったときは ロマネスクの旅でしたから、かなり集中的に教会を観ました。クロンマックノイズのハイクロスもすばらしいですよね。 シャノン川の流れとともに良い思いでです。
コーズウエイはどこのでしょうか? 私がいったのはジャイアント・コーズウエイだけで 教会はありませんでした。
コメントをくださったおかげで久しぶりにアイルランドの思い出に浸ることができました。

オリーブ キタリッジお読みになったのですね。彼女は、少し毒が強すぎたかもしれません。私は、多分10年位前に読んだので、年齢的に今より毒のあるものでも平気だった気がいたします。今は、どうかなーと自信がありません。ルーシーとはかなり違った人物ですが、人間の内面の毒を描いているのかなと思っています。全然この本と関係ないのですが、アイルランド行って参りました。ダブリン市内は、観光客も多く以前より少々雑然とした感じに思えました。今回は、主に初期のキリスト教の修道院跡コーズウェイとかクロンマックノイスなど訪れました。この2か所に行ってみたかったので、私としては満足でした。8日間のうち最後の1日だけが終日雨でベルファストは、あまり見学できませんでした。ダブリンはもう少し滞在したかった。でも、もうアイルランドに行くことはないです。でも、4回目の訪問でも飽きません。ますます知りたくなりますね。

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