ウクライナも気になりますが、イスラエル・パレスティナ情勢も非常に気になります。報道写真に見るガザに住む人々の惨状が目に余りあるからです。
それでこういう本を読んでみました。できるだけ日付の新しいものを、と思って選びました。
『なぜガザは戦場になるのか』 高橋和夫著 ワニブックス
現在の状況は昨年10月7日のハマスによる奇襲によって発生したものではない、これが起こったのはイスラエル軍による占領の状況があまりにもひどいからだ、というところから説き起こされています。
摩擦が起こるようになったのは遠い起源ではなく19世紀末からだ。
この時期にヨーロッパに民族主義が起こり、ユダヤ人への迫害が強まったことにある。そこでかれらは自分たちの国家を創ろうとして場所はアフリカや南アメリカも検討されたが、結局はパレスティナが選ばれた。→シオニズム。シオン山とはエルサレムの西側の丘。
当時パレスティナはオスマン帝国の一部でそこではイスラム教徒、キリスト教徒、少数のユダヤ教徒もいた。宗教を巡る争いはなかった。
当初シオニストたちは移民を集めるのに苦労した。シオニオズム自体に否定的なユダヤ人も多かった。つまり宗教を基準にしてユダヤ人を民族とみなす考え方に否定的、つまりユダヤ教を信じるドイツ人もフランス人も同じユダヤ教徒としてくくられることに否定的な人も多かった。ドイツのカトリック教徒もフランスのカトリック教徒もカトリック人として同じ民族である、という議論は受け入れられるものではないのと同じ。彼らは移住先としてアメリカを選んだ。やってきたのはポグロムを逃れた貧しいロシア人。
しかしアメリカは1924年から移民の受け入れを制限するようになり、ドイツのナチス台頭もありより多くのユダヤ人がパレスティナを目指すようになった。このころやってきたユダヤ人たちは裕福であった。
そうしてそれまでそこで暮らしていたパレスティナ人と摩擦をおこすようになった。入植→占領地への入植は国際法上違法。(イスラエルは国連の勧告を無視)
ユダヤ人は土地を取り上げパレスティナ人たちを狭い地域に追い込んでいった。ヨルダン川西岸地域とガザである。
ここに至る歴史、1993年リクードの党首になったネタニエフのことなどが書かれています。
汚職まみれで息をするように嘘をつくといわれている人物だそうです。
現在ヨルダン川西岸をファタハが支配し、ガザ地区はハマスが支配している。しかしこの両者は仲が悪い。ネタニエフはパレスティナ側が二手にわかれていることを理由に交渉しようとはしない。ネタニエフは民族浄化を目指しているらしくガザ地区を攻めています。国連の勧告はききません。
これを停めることが出来るのアメリカ。
アメリカではユダヤロビーが力をもっているといわれています。しかし最近はユダヤ人の間でもネタニエフのやり方はおかしい、という声があがってきています。ユダヤ系団体でありながらJストリートのようにイスラエルによるガザ攻撃を批判しているものもあります。
大統領選で色々あるでしょうが、戦列をはなれたわけですから、有終の美を飾るべくバイデンさん断固たる態度をイスラエルに対してしてとってほしいものです。
先日来レバノンでのポケベル爆発事故の報道がありこの地域は混迷の度をさらに深めているように思われます。
詳しく状況を説明することは私の手に余りますのでこのあたりにしておきます。
私たちがガザの人々にできることは寄付をすることくらいのようです。この本にしるされているところにできる範囲での寄付はすぐしました。
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