『ウィンダム図書館の奇妙な事件簿』
読み始めてすぐ嬉しくなりました。こういう本が読みたかった!と。
このところスーザン・イーリア・マクニールのマギー・ホープシリーズ(7冊)を読みふけっていました。
『スパイ学校の新人教官』を含むシリーズです。面白くはあったのですが、どうも主人公のキャラクターが好きになれなかったのです。私が私がと出てくるところ。本人はイギリス人だかアメリカ人だかよくわからない、というようなことを言っていますが、ヤンキー娘。
今回の本ではケンブリッジ生まれのケンブリッジ育ち、正真正銘のイギリス人女性が主人公です。
『ウィンダム図書館の奇妙な事件』 ジル・ペイトン・ウォルシュ著 創元推理文庫
作者がジル・ペイトン・ウォルシュ、聞いたことがある名前です。そう、昔娘が中学か高校時代に、親の私も夢中になって読んだ『夏の終わりに』や『海鳴りの丘』の作者です!イギリス、コーンウォールのセントアイブズが舞台でバージニア・ウルフの『灯台へ』もスカイ島ではなくここで書かれたようなのです。セントアイブズには2006年に行きました。
横道にそれました。
ジル・ペイトン・ウォルシュがミステリーも書いていたとは驚きです。Am〇zonでみつけて早速購入。
イモージェン・クワイは医師になりたくて医学部にいたのですが、資金の関係で結局保健師になってセント・アガサカレッジで学寮付き保健師(カレッジ・ナース)として働いています。
落ち着いた思慮深い女性のようです。
このカレッジにはウィンダム図書館という古書ばかり集めたおかしな規約を持つ図書館があるのですが、そこで死体が発見されます。殆ど人が訪れることはない図書館なのですが。
イモージェンは仕事柄、体の病気だけでなく心の病というか心配事の相談にも学生たち(教授たちも)は訪れます。そういった事情から学内の人々のことはよく知っています。
死体の様子から事故死ではなく殺人だと見て取ったイモージェンは推理をし始めます。
亡くなったのですからお葬式はあります。こでの牧師さんのお説教も書かれていました。信者でなくてもこういうお話は心にしみるものがあります。物語の内容に奥行が与えられていました。
彼女を取り巻く人たち、三十路をすぎた独身の彼女ですが、なんとなく心を寄せていると思われる人たちもいます。彼らと インにお食事に行ったり、また何かというとお茶を入れてビスケット。まさにイギリスです。
ケンブリッジは昔行ったことがあります。懐かしさも加わって楽しい読書でした。
さらなる死体も出てきたりでストーリーも面白かったのですが、それよりイギリスらしい雰囲気が良かったのです。
シリーズものです。2冊目も手に入れました。
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