『リスボンのブックスパイ』
創元推理文庫にはさまっていた小さな案内から見つけました。Amazonでも☆四つ半のおすすめです。即購入。
読み始めてすぐ、当たり!と思いました。面白くまた読みでがありました。
『リスボンのブックスパイ』 アラン・フラド著 東京創元社
とりあえず表紙袖の内容紹介を
1942年、第二次世界大戦下。ニューヨーク公共図書館で働く司書のマリアは、大統領令に基づく任務を帯び、ポルトガルのリスボンに旅立つことになった。その任務とは、身分を偽り、戦略分析のために枢軸国の刊行物を収集すること。
報道写真家の母をスペイン内乱で亡くしたマリアは、危険を冒してでも戦争を終わらせたいという強い想いを抱いていたのだ。
同時期、リスボン。書店を営む青年ティアゴは、書類偽造の天才であるローザともに、迫害から逃れようとするユダヤ人避難民を命懸けで援助していた。マリアは街で本や新聞を集めるうちにふたりと出会い、戦争を終わらせるためのさらなる任務に臨むことにーーーー
この小説は1941年から44年の出来事でこの時代ポルトガルの首相サラザール(この政権はその後も長く続いた)は反共の独裁者。秘密警察を使って国民を監視していました。ポルトガルのことはよく知らないのですが、このことは映画〈リスボンに誘われて〉などで少しだけ知っていました。
リスボンに誘われて を観て: 緑の風
位置的にはリスボンはヨーロッパの西の果て。当時は殆ど船旅でしたから、新大陸への出発点の町でした。
戦争中って日本の一般市民はどう考えていたのでしょうか。お国のために役に立ちたい?それよりひたすら早く終わることを願うのみだったのでは?という気がするのですが。
ナチスドイツは焚書を行い政府にとって都合の悪い書物は焼いていました。そのようなことによって貴重な書物失われることのないようアメリカでは写真に撮ってマイクロフィルムに保存する、という仕事をしていました。
今ヨーロッパで手に入れられる枢軸国の書物をマイクロフィルムにおさめる仕事をマリアはしています。
マリアは父親がポルトガル人、既に亡くなっている母親はドイツ人の報道写真家でした。スペイン内乱中に母を失ったマリアは〈どんな犠牲をはらってでも戦時協力に貢献できる方法を探す〉という決意をいだいていたのです。
それでかなり強引な方法でリスボンでの仕事を手にいれました。
マイクロフィルムってすごいのですね。100年たっても劣化せず読めるらしいです。
司書であってスパイではないのだから、本の写真をとる意外のことはしないように、と強く言われていたのですが、、、、。
本屋のティアゴとの出会い、スイスの銀行家との危ない付き合い。
波乱万丈というのはおおげさかもしれませんが、面白いし、中立国の戦時下、特にティアゴはユダヤ人を海外に逃れさせる仕事をしていることからも厚みのある作品でした。
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