『掌侍・大江大江荇子の宮中事件簿』
時折アマゾ〇さんから時々「この本はいかがでしょうか」と本のお知らせが届きます。それでこれを読んでみました。
表紙を観て「これは、少女漫画?」とおもいましたが、楽しいお話だったので結局全6冊買ってしまいました。
『掌侍・大江大江荇子の宮中事件簿』小田菜摘著 集英社オレンジ文庫
オレンジ文庫というのは高校生対象の文庫らしいです。
主人公掌侍・大江荇子(こうこ)は21歳、内裏女房としてすでに8年。
母親はなく継母につらくあたられ、父は母の言いなり、そのため大和の祖母の家で過ごし裳着を終えるとすぐ宮仕えを始めています。親のこともあって生涯結婚はせず女房として最後まで勤め上げ給料を蓄えて自力で暮らそうと心に決めています。
内裏女房です。女房グループは他に中宮、二人の女御にもあり、なかが悪くてささいなことで争いになったりもします。
いうなればこれは平安朝版オフィス小説です。
内裏女房とは主上≪天皇»に仕える女房たちです。
荇子は文丈博士の娘で能書家です。それで天皇にもその書は知られています。
あるきっかけで天皇とも親しく接するようになっています。
少納言として主上に仕える五位の藤原征礼(まさゆき)は同い年、受領の息子で大和に父親が赴任していたため、幼い頃一緒に野山を駆け巡った友です。
天皇になるのは必ずしも長幼の順ではなくバックにつく人の力によるものです。
今上の母は女王だったので左大臣の娘などという権力バックの女性の子と比べて帝になるチャンスはほぼなく異母弟であった先帝の一時的東宮だったのですが、思いがけなく天皇は早世。急遽天皇になったので取り巻き大臣などはいません。征礼は東宮時代から仕えていたので、今も一番本心を打ち明けられる人間です。
宮中というのは、江戸時代の大奥とは違って男子禁制、というわけではなく、幼馴染ということもあってよく征礼は荇子を訪ねてきておしゃべりをして情報もあたえられます。→ロマンスの要素あり。(主上もからかいながら暖かく見守っている)
上臈の藤原如子は内大臣の娘で冷たい感じのする美人で頭も切れます。本来なら女房になるのではなくお妃がねですが、親を10年前に亡くしているので、女房として働いています。本人はこの方がお給料はいただけて変な気遣いもしなくて済む、とさばさばしています。
この4人が主要メンバーで宮中のちょっとした事件にかかわり解決(おもに荇子が)していく話が各巻3,4編ずつ入っています。
謎解きなので詳細は書けませんが、 第一話だけ
雀が死んでいた事件。女御間のいやがらせとされて喧嘩になるのですが、それがおしろいを食べたことによることと、見抜いたのは荇子。
おしろいは如子が女御から賜ったものです。如子が窮地にたたされたわけですが、、、。
下々が使用するものには使われていないが女御・中宮などのおしろいには鉛白がつかわれているのです。これは顔に塗るには問題はないけれど口に入れば毒。
これをきっかけに冷たい美人できつい言葉を言う如子と親しくなります。
このようにちょっとした、ちょっとどころではない事件を描きながら宮中のに人間模様、行事などが書かれていて他愛ないといえば他愛ないのですが、面白く読め、体調不良をかこつ身にはいい気晴らしになりました。
« 『リスボンのブックスパイ』 | トップページ | 『終結者たち』 マイクル・コナリー著 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『臨床真理』『ミカエルの鼓動』(2025.06.28)
- 『月下のサクラ』『朽ちないサクラ』(2025.06.21)
- 『水曜生まれの子』(2025.06.15)
- 『彼女を見守る』(2025.06.03)
- 『朝と夕』(2025.05.23)
コメント