『檜垣澤家の炎上』 長嶋恵美著
5mも歩くと息が苦しくなるので、申し訳ないことに家事は全て主人にお任せです。「ありがとうございます」を言い続ける毎日はつらいです。
胸痛、顎痛などがない時は本を読んで時間をつぶしております。
昨日読んだのは、この前買った文庫に挟まっていたチラシから見つけた本です。
『檜垣澤家の炎上』 永嶋恵美著
とりあえず表紙裏の内容紹介から
横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不振な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でどの才を開花させたかな子が 辿り着いた真実とはー。
スエが大奥様、奥様が花、花の娘三人の内末娘が雪江、
物語が始まるのはかな子が七歳の時から。かな子は要吉の妾の子です。元町(横浜)に一軒あてがわれ女中やばあやたちもつけてもらっていました。母親は単なる囲い者であることを良しとせず、長唄など教えていてかな子もしっかり教育していましたが、学校に入るころ母は出かけた先で火事に会い、亡くなりました。そこで檜垣澤邸で暮らすことになったのです。女中部屋の一角で暮らしながら学校には行かせてもらい、帰ってからは病床の父・要吉の世話をする、という毎日です。
ほどなく父といってもかな子にとってであり、かな子より年上の雪江には祖父の要吉が亡くなります。ある事件からかな子は女中部屋ではなく父の部屋の隣にすむようになっていたのですが、これが女中たちの反感を買います。
女中ではないけれど、正当な娘たちとは一線を引かれてしまっている、こういう環境の中で、頭は良かったのでしょう、かな子はこの家でいかにうまくたちまわるかということに腐心する子になっていきます。
そうして いつかこの家を自分のものする、と誓うようになって生きます。
大邸宅の庭で催される園遊会、東京まで泊りがけで出かけての音楽会。
お客があり、妾の子がいることが知られたくないときにはどこかへ行かされたり、、、。
初、花、郁乃、珠江、雪江、それぞれの個性も書き分けられています。
ストーリは面白く引っ張られて読みました。
でも私はこの小説、不愉快でした。置かれた境遇と頭の良さもあるのでしょう。盗み聞きなどをして情報を集め、いかにふるまうかに知恵を絞る、状況をみて泣き顔をつくってみせたりしおらしくしたり、およそ十やそこらの子供の考えることとは思えません。いや、子供って案外そういうことを考えるのでしょうか?妬ましさなどという語がでてくるのも疎ましく、わかるのですがあからさまに書かれるとよい感じはしません。なぜこの本を買ってしまったのかと思うほどでした。
次は雰囲気の違う本を読むことにしましょう。
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