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書籍・雑誌

2025年6月21日 (土)

『月下のサクラ』『朽ちないサクラ』

月曜日からちょっとした手術のために主人が入院したので火曜日から泊りがけで妹がきてくれています。

御土産は懐かしい京樽の茶巾寿司と一度あじわってみたいとおもっていた湘南「葦」のケーキです。
京樽は大学の正門前、この前写真を撮ったところの後ろの位置にお店がありました。

 葦のケーキ 

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両方味わいたくて半分づつ頂きました。ちょっと他ではないものでとっても美味しかったです!

本、何かないかしら?以前読んで面白かった本の著者名から探し出しました。

月下のサクラ』柚月裕子著 徳間文庫

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裏表紙の内容紹介から

 念願かない警察広報職員から刑事となった森口泉。記憶力や語学力を買われ、希望していた機動分析係へ配属された。自分の能力を最大限に発揮し、事件を解決に導くーーー。だが配属当日、会計課の金庫から一億円が盗まれていることが発覚。メンバー総出で捜査を開始するが、内部の者の犯行である線が濃厚だった。混乱する中、さらに殺人事件が発生して.....。
組織の闇に泉の正義が揺れる。

米崎市という東北地方の海に面した架空の町が舞台です。
黒瀬警部と組んで事件解決にあたるのですが、面白くて一気読み。

もう一冊
朽ちないサクラ』 柚月裕子著 

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警察不祥事のスクープ生地。新聞記者である親友に裏切られたーーー。口止めした森口泉は愕然とする。情報漏洩の犯人探しで県警内部が揺れる中、親友が遺体となって発見された。警察広報職員の泉は、警察学校同期の磯川刑事と独自に調査を始める。次第に確信に迫る二人の前にちらつく新たな不審の影。事件の裏には思いも寄らぬ醜い闇が潜んでいた。

実はこちらの方を先に読むべきでした。
ミステリーですからストーリー紹介はこれ以上しません。

ミステリーは読みたいけれどむごたらしい描写は読みたくなかったのでその点でも良かったです。

森口泉刑事、黒瀬警部のコンビで続編が書かれることが期待されます。 

私の体は相変わらず半病人状態です。動くとすぐ息苦しくなりますが、座って本を読んだりパソコンで何か書いたり観たり(テレビ付きなので)することはできます。
何とかもう少し元気になりたいのですが。

 

2025年6月15日 (日)

『水曜生まれの子』

イーユン・リーの短編集を読みました。

水曜生まれの子』 イーユン・リー著 河出書房新社

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帯を撮取った写真
 北欧神話に出てくるイグドラシル(世界樹)が描かれています。

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ワルキューレの岩」で、第一のノルン(運命の女神)が「一人の大胆な神が水を飲みに泉にやって来て 永遠の叡智を得た代償に片方の目を差し出しました そして世界樹のトネリコの木から枝を一本折り その枝から槍の柄(つか)を作りました 長い年月とともに その枝の傷は 森のような大樹を弱らせました 葉が黄ばんで落ち 木はついに枯れてしまいました」と歌う。(WIKより)
世界樹は片目をもらったけれど、折られた枝の傷によって枯れてしまいます。
著者その人を暗示しているように思ってしまいました。

短編集なので気軽に読めるかと思ったのですが、そういうわけにはいきませんでした。
各タイトルといくつかについては感想めいたものを書き留めてみました。

表題作「水曜生まれの子」 が第一作目です。
前の晩これを読みました。次の作品を続けて読む気になれなくて二度読みました。
翌朝とても悲しい気持ちで目が覚めました。

イーユン・リーという作家は2017年、16歳の長男を自死により亡くしていることは知っていました。 
この作品のロザリーも娘を自死により失くしています。自死により子をなくす、これほど両親にとってつらいことがあるでしょうか。
マザーグースに月曜生まれの子は、、、と曜日ごとに生まれた子の運命をうたう歌があるそうです。
それによると、「、、、水曜日生まれの子は悲哀がいっぱい、木曜日生まれの子は長い道のり、、」となっています。
ロザリーの子マーシーは水曜日に生まれ、15年1ヵ月後の木曜日になくなったのです。
何年かのち、ロザリーは列車内でマーシーと心の中で話しながらオランダからベルギーへ旅をします。その列車内の出来事が語られていきます。
短編小説は終わり方ががポイント。よかったです。

「かくまわれた女」

誰かのことをわかるとその人はいつまでも離れていかなくなるけれど、わかっていなくたって同じ結果になるんだ。死は死んだ人を連れさらないからね。その人を一掃深く心に根づかせるだけ。

「こんにちは、さようなら」
20年前カリフォルニア大学バークレー校の寮のルームメイトとして出会ったケイティとニーナの話。
かなり年上の暴力をふるうお金持と結婚したケイティは、ニーナになぜかと聞かれて「
いい人とは軽い気持ちで結婚できないから。」と答えます。
「こんにちは、悲しみ、さようなら、悲しみ」「何でもそんな風に簡単だったらいいのに」「「こんにちは、まちがった選択、さようなら、まちがった選択」 

「小さな炎」
著者はウイリアム・トレヴァーの作品が好きだということは知っていました。この作品はトレヴァーへの追悼の気持ちがこめられているそうです。 残念ながら手持ちのトレヴァー短編集何冊かには該当する作品はみつかりませんでした。 

「君住む街角」

「ごくありふれた人生」
一 たんぱく質

二 仮説

三 契約

「非の打ちどころのない沈黙」

「母親に疑わせて」

「ひとり」
これもつらい話ですが心に残るエピソードでした。
心中しようと決めた六人の少女たち、五人は死んだのにスーチェンは死ねなくて周りから非難されました。しかし五人の少女たちはいないがゆえにスーチェンの世界では存在感のある人たちだった、、、。

「幸せだった頃、私たちには別の名前があった」

「すべてはうまくいく」 
この中でジェームズ・ジョイスの『死者
たち』に出てくる、マイケル・フュアリーという少年に触れられていました。
映画を観て、本も読みました。(映画は非常に良かったです)
子どもを亡くしたことにより祖父(幼子をなくして自死した若い前妻の夫であった男として)を悼むことができた話。

考えに考えて紡がれた文章。心の襞の奥に分け入ってある意味たんたんと書かれていきます。
一気読みはできません。

私は脳細胞が摩耗してしまっているのでしょう。
若い頃とは違って感じ方も表面的になっていることを思い知らされた感じがしました。
しかしある意味それは生きていく知恵かもしれません。

書き留めたいことはいくつもあるのですが、まとまらないので一応ここまでにしておきます。

2015年8月にこの著者の 『千年の祈り』を読みました。
その時はこんなつらい思いはしませんでした。
それで
軽い気持ちでこの本を買ったのですが、、、重かったです。
著者自身は鬱病のとき自殺を図ったことがあり、その後次男も自死によりなくしています。

つら過ぎます。

今の私の体力、精神力ではもうこの作家の作品を読めそうにありません

2025年6月 3日 (火)

『彼女を見守る』

aiai様がお読みになっていらっしゃるということで購入しました。

彼女を見守る』 ジャン・バティスト・アンドレア著 早川書房

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一言で言えば≪壮大な愛の物語≫でしょうか。
読み終わって放心状態です。

表紙袖の内容紹介から
大戦間のイタリアの激動を生きた男女の絆の行方はーー
親元を離れ、石工の見習いになった少年ミモ。
彼が出会ったのは、この地を治める侯爵の令嬢、ヴィオラ。
科学を愛し、空を飛ぶことを夢見る少女だった。
同じ年、おなじ月日に生まれた二人を引き合わせた運命は、彼らを引き離しもした。
ミモが才能を発揮する一方、ヴィオラは時代の制約にからめとられてゆく。
やがてミモに決断の時が迫るーー 
彼が彫った聖母子はなにを語るのか?

ミモはフランスの貧しい石工の家に生まれ、石工修行のためにピエトラダルバの村にやってきたときは13歳。
そこの墓地で城館に住む侯爵令嬢のヴィオラと出会い、惹かれあい、惹かれあうゆえにあえて会わずにいたり、の年月。
このミモ、軟骨無形成症、といって大きくなれない人でした。身長140㎝、でも頭などは普通サイズなのでその姿は異様だったようです。顔は美男だったことになっています。
地を這うような生活から、制作依頼が何年分もあるような彫刻家へと波乱万丈の人生が描かれます。 
500ページもの長さですが、飽きさせません。

不思議な感動で胸がいっぱいになりました。

お薦めです!

読むきっかけを与えてくださったaiai様ありがとうございました。

この小説の最初と最後の場面はサクラ・ディ・サン・ミケーレ修道院になっています。
サクラ・ディ・サン・ミケーレ修道院!行ったことがあるのです。
旅路はるか~北イタリア、スイスの旅
(3日目 そのⅡ)
この小説では険しい山道、とありますが、バスでかなりのところまで行って、その後徒歩でゆるやかな坂道を30分ほどあがっていくだけでした。ピルキリアーノ山という岩山の山頂に岩山と一体化したように建っていました。
素晴らしい彫刻作品がみられました。
ウンベルト・エーコが『薔薇の名前』のインスピレーションを得た、と言われる場所でもあります。

2025年5月23日 (金)

『朝と夕』

ノルウェーの作家による作品を読みました。
北欧!森と湖、フィヨルドそして氷の国に憧れて北欧4か国の旅に行ったことがあります。
30日年以上前のことです。
いくつかのフィヨルドを船に乗っていきました。
ノルウェーはシベリウスの国。シベリウスの家もお墓も見ました。
でもノルウェーの作家の作品って初めてのような気がします。
お恥ずかしいことに私は知らなかったのですが、ヨン・フォッセは「言葉で表せないものに声を与える革新的な戯曲と散文」により2023年ノーベル文学賞を受賞しています。

朝と夕』 ヨン・フォッセ作 国書刊行会

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朝と夕、とはここでは人の生と死という意味でした。

第一部 誕生 
ノルウェー、フィヨルドの辺の家、息子の誕生を待つオーライ。生まれた子はオーライの父親と同じヨハネスと名付けられ、やがて漁師となる。

第二部 死
コーヒーを沸かしパンに山羊のチーズをのせる、、、老いたヨハネスの、すべてが同じでまったく異なる一日がはじまる、、、
フィヨルドの風景に誕生の日と死の一日を描きだした神秘的で神話的な幻想譚。

第一部 オーライはそわそわと息子(と確信している)の誕生を待ちながら、神はいる、信じている、と思っています。 知っていることを言葉にするのは難しい、それは言葉より哀しみに近いものだから、ヨハネスと名付けられた元気な男の子の誕生
短い20ページほどの 第一部

第二部 
七人もの子に恵まれ、数え切らないほどの孫がいて幸せな人生を送ったヨハネス。しかし今は妻に先立たれ一人暮らし。勿論近くに住む娘がいつも様子を見には来てくれ
ています。
今朝も躰の節々が強張って痛み、そのまま寝台の中に居たいと思いながら起きてみると躰はとても軽い、
そこで起きてみる、
そうして出かけるがどこかおかしい。
もう亡くなったはずの友人ペーテルがいたが、薄くなった白髪が長く伸びやせ細っている。
一緒に町へ行ってみるが誰もいない、、、。あそこに行く若い女性二人連れは? 

そうして迎えに来たペーテルと船に乗って二人で旅立ちます。

特に何をなしたというわけでもない一人の漁師の話が心を打つのです。
いつもならすぐグーグルマップを開いて場所探しをするのですが、この作品はそういう気をおこさせません。
現実感が薄いからでしょうか。神話的、神秘的と評されるゆえんからかもしれません。

文章の特徴として読点(、)はあっても句点(。)はありません。

暮れにクレア・キーガンの『ほんのささやかなこと』を読んでこれがベスト、当分これを超える作品には出会えないだろうとおもっていましたが、出会えました。クレア・キーガンとは別種の感動です。

持ち時間が少なくなったと感じるせいではないのですが、暫く他の本は読みたくないと思わせられるほど心にしみる作品でした。

2025年5月16日 (金)

『暁の報復』『暴風雪』

ボックスの小説を続けて読みました。

暁の報復

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猟区管理官ジョー・ピケットの留守電に、知人のファーカスから伝言が残されていた。ダラス・ケイツと仲間が、ジョーを襲う密談をしているのを盗み聞いたという。ジョーの娘の元恋人ダラスは、1年半前の事件で家族ともども破滅し、その一因となったジョーに強烈な恨みを抱いていた。ほどなくファーカスが行方不明になり、空からの捜索に同行したジョーは、ファーカスらしき男が3人に発砲された場面を赤外線装置で目撃する。その後遺体が発見され、捜査が始まるが、ピケット一家にも次々と聞き画襲いかかる。

暴風雪
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猟区管理官ジョー・ピケットは、アレン州知事からある事件のソウサを命じられる。昨年7月に、英国大手広告会社社長の女性が、サラトガ築で失踪した。彼女は ジョーの娘シェリダンが働く高級リゾート牧場に滞在後、空港へ向かう途中に忽然と姿を消していた。行方を探るためにジョーが現地に赴くと、盟友の鷹匠ネイとが現れる。彼はタカ狩りに関する問題の解決に協力してほしい、その代わりジョーの調査を手伝うと言う。サラトガ担当猟区管理官の謎めいた離職も絡んで、事態は予想外の展開に、、、。

事件は現代的ですが、カウボーイハットをかぶり馬に乗って荒野を山地を走るピケット、まさしく西部劇の世界です。

最初に読んだ『発火点』はさほどではなかったので、 続けて三冊まとめて購入したのですが、 其の後は結構殺しの場面もあって、病身には(大袈裟ですが)刺激が強い場面もありました。事件が気になるので読み始めるとやめられなくて一気読みしてしまいます。

男っぽい世界で、 まだまだ続きがありそう(邦訳はまだ出ていません)ですが、さあ?もう読まない気がします。 

2025年5月12日 (月)

『発火点』『越境者』

体調は相変わらずで、ひたすら本を読むか、うとうとしております。

『発火点』『越境者』 C・J・ボックス 創元推理文庫

発火点

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ワイオミング州の猟区管理官ジョー・ピケットの知人で、工務店経営者プッチの所有地から、2人の男の射殺体が発見された。殺害されたのがは合衆国環境保護局の特別捜査官で、プッチは同局から不可解かつ冷酷な仕打ちを受けていた。逃亡した容疑者プッチと最後に会っていたジョーは、彼の捜査に巻き込まれ、、、、。
大自然を舞台に展開される予測不可能な追跡劇の行方と、事件に隠された光明な陰謀とは。

越境者

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ワイオミング州管理官の職を辞したジョー・ピケットは、ルーロン知事の意向で現場に復帰していたが、新な任務を与えられる。巨大製薬会社の跡取りスコギンズが失踪し、FBIは、州の辺境に住む富豪テンプルトンが前々から暗殺業を営んでおり、スコギンズを標的にしたのではと疑っていた。さらにスコギンズ失踪の前後、ジョーの友人ネイトらしき男が近くで目撃されていた。ジョーは知事の指令でFBIに協力し、テンプルトンの本拠地に情報収集に赴くが、、、。

ワイオミング州ってきいたことはありますが、位置をよく把握していなかったので地図を調べました。中部は未開発地域なのでしょうか。州境が川や山脈ではなく定規で線を引いたって感じに決められているのですね。改めてビックリ。大統領選などでは みているのですが、あれは便宜上示されているだけかと思っていたのです。

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調べてみると、 面積は10番目に大きいのですが、人口が最も少ない州で、手つかずの自然が残されている州だそうです。
読んでいても著者がこの週の景色を賛嘆していることがよく分かるような描写が多く見られました。

2025年4月28日 (月)

『沈黙』アン・クリーヴス

アン・クリーヴスの新作が出ました。発売日前に予約しておきましたので、いち早く手にいれることができました。
ただ読み始めると気が重くなり、なかな先に進めませんでした。
登場人物が亡くなったりすると朝目が覚めたときとても悲しい気持ちがするのです。
体調がまだ万全でないでからかそれとも年齢か、耐性がなくなってきているのを感じます。

沈黙』 アン・クリーヴス著 ハヤカワ文庫

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表紙裏の内容紹介から
吹きガラス職人のイヴが自宅で父ナイジェルの遺体を発見した。捜査を指揮するマシュー・ヴェンは患者救済組織の所長であるナイジェルが、青年マック
が自殺した事件を捜査していたことを知る。マックは精神科病棟から退院させられた後、自殺を教唆するサイトにアクセスしていた。マシューは病院とサイトの両方を追うが、イヴは父の死が自分のせいではないかと心を痛めていて、、、。

アン・クリーヴスの小説はジミー・ペレス警部のシェトランドシリーズをついこの間まで読んでいました。海がすぐ開けているせいかそれほど重苦しさを感じなかったのですが、こちらも海辺の町とは言え、とても重苦しい雰囲気です。
『哀惜』の続編ともいえるもので警部も同じマシュー・ヴェンです。このマシュー・ヴェンという人物が明るくない人なのです。母親がプレザレン教会というとても保守的な教会に属していてマシューもその中で育ったのですが途中で信仰をすてています。マシューのパートナーであるジョナサン(二人はゲイカップル)は円満な人柄です。
亡くなった人を巡る地域の人間模様が丁寧に語られる中で事件の真相が明らかになっていきます。

ミステリーですからストーリー紹介は控えます。 

舞台であるノース・デヴォン、この地域には惹かれます。ここで出てくるバーンスタブルには行ったったことがありません。 私が行ったのはコーンウオル半島でももう少し西です。
もう海外はきっぱり諦めたつもりで(もちろんもう行く体力はないのですが)ですが、やはりこの地域に対するあこがれは抑えがたいものがあります。やっぱり私はイギリスが好き!

シェトランドシリーズもまた再開されるらしいです。楽しみ。

2025年4月23日 (水)

『輪島屋おなつの、、、』シリーズ 一、二

この前読んだ本は少々薄気味悪く面倒なところもあったので、もう少し気楽なもの、、、とおもって時代物お料理小説を買ってみました。

『輪島屋おなつの潮のこんだて』
『輪島屋おなつの春待ちこんだて』 馳月基著 徳間文庫

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茶色にしたところは表紙裏の内容紹介です。

輪島屋おなつの潮のこんだて
日ノ本各地の郷土料理を味わうことができる「ふるさと横丁」。地方から江戸に出てきた人々が故郷の味を懐かしんで訪れる通りだ。
輪島出身のおなつは、ふるさと横丁にある「輪島屋」で働きながら許嫁である丹十郎の帰りを待っていた。命懸けの任務が無事に終わるよう祈りながら作るのは、潮の香りが漂う卯の花ずしや茄子と素麺の煮物。

輪島屋おなつの春待ちこんだて
故郷の味を振る舞う店が軒を連ねる「ふるさと横丁」。その一角で働くおなつは蝦夷地の探索を任された許嫁・丹十郎の帰りを待っていた。輪島が恋しくなる海藻鍋にぶり大根。いくら料理に精を出し一行に帰ってこない彼に不安がこみあげるおなつ。そんな時、丹十郎の上役である間宮林蔵付きの足軽がおなつを訪ねてきて告げた。丹十郎は戻らない、調べを受けているとーー。

理やの女主人や客たちの人間模様、お夏の丹十郎への想い、お夏に小さい時からおもいを寄せている従弟の紺野承のことなどが輪島料理とともに語られていきます。

潮のこんだて
*いわしの卯の花ずし *えびすと金時草 *なすと素麺の煮物 *押しずし

春待ちこんだて
*海藻鍋 *ぶり大根 *かぶらずしと大根ずし *いさざの卵とじ

輪島料理は金沢とは少し違うようですが、金沢の料理も作られています。

私の両親は加賀金沢の出身ですが、父が洋食を好んだせいか、あまり加賀料理はつくりませんでした。
でもお正月には、この本で 「えびす」と紹介されている、我が家では「べろべろ」といっていた甘醤油のだし汁に卵をといていれて寒天で固めたものはお正月料理としてありました。 
また「かぶら寿司」 もお正月にはおくられてきていました。かぶら寿司とは塩漬けにした蕪に塩漬けにした鰤を挟み、粕でつけこんで発酵させたもので、大好物。今度直接注文してみようかしら。

懐かしいお料理がでてきました。でもただ何となくしばらく前に読んだ『おでかけ料理人』ほどの明るさ、軽やかさがないような気がしました

被災した輪島応援として書かれたそうです。震災に洪水、今なお不便な暮らしをなさっているそうで心が痛みます。 

2025年4月22日 (火)

『一次元の挿し木』

このミステリーがすごい!大賞受賞作品、ということで読んでみました。
皆さん絶賛ですが、私は、、、好みではなかったです。どこかSFっぽい感じもしました。

朝目が覚めたときとても悲しくて、どうして?と色々思いめぐらせてこの小説のせいだと気が付きました。
怖い小説だと夢見が悪いし、人が亡くなると悲しいし、、、何かと影響を受けやすい人間なのです。

一次元の挿し木』 松下龍之介 著 宝島社文庫

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表紙裏の内容紹介から
ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨。大学院で遺伝人類学を学ぶ悠がDNA鑑定にかけると、四年前に失踪した妹のものと一致した。
不可解な鑑定結果を担当教授の石見崎に相談しようとした矢先、石見崎は何者かに殺害された。古人骨を発掘した調査員も襲われ、研究室から古人骨も盗まれた。悠は妹の生死と、古人骨のDNAの真相を突き止めるべく動き出すが、予想もつかない大きな企みに巻き込まれていくー。

「挿し木」がクローンを意味することを知っていると、かなり内容について予想できるところがあるかもしれません。私は知りませんでした。
表紙の絵が紫陽花ですが、紫陽花って挿し木でふやしていくそうですね。
かなり前にクローン羊としてドリーが紹介されたことがありました。動植物ではかなりクローンがつくられているようですが、人間については法律的に規制されています。しかし、、、。
クローンは寿命が短いらしいです。
クローン人間を含む青年男女の物語、鬼子ともいうべきミノタウロスらしきものも出てきます、、、気持ちが悪い!

科学ものが好みの方には面白いかもしれませんが、私にはむいていなかったようです。

  

2025年4月 7日 (月)

『炎の爪痕』

アン・クリーヴスのシェトランドシリーズ最終作を読みました。

『炎の爪痕』アン・クリーヴス著 創元推理文庫

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最初のぺージの内容紹介から

へレナ・フレミングは憂鬱だった。家族で引っ越してきたシェトランド本島の家の納屋で、まえの持ち主が首吊り自殺を遂げて以来、何者かが敷地に侵入し、謎めいた紙片をあちこちに残していくのだ。たまりかねてジミー・ペレス警部を訪れて相談をした翌日、同じ納屋で今度は女性の首吊り死体が発見される。彼女は島の旧家モンクリーフ家の子守だった。ふたつの死に関連はあるのかペレスは上司のウィローや部下のサンディとともに調査にあたる。

下地図のデルタネスがヘレナたちの住まいのある場所。シェトランドの州都はラーウィックです。ラーウィックまでは車で35分くらい(27マイル)のようです。

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フレミング家とモンクリーフ家は比較的裕福な暮らしをしています。モンクリーフ家の子守だった殺されたエマはオークランド諸島の出身で医者仲間の推薦で医者のモンクリーフ家に雇われていました。 送り込んだ医者は彼女が酒乱の親に折檻されたいたことを知って解放の意味もあって推薦したのですが、彼女も折檻は当然とおもっていたようで、預けられた子供たちをぶったりしていたのです。 
エマにはマグリー・リデルという交際相手がいます。しかしエマは彼に満足しているわけではありません。高望みする人なのです。
マグリーは貧しいけれど性格のいい青年ですが、母親のマーガレットは覗き趣味で歯に衣着せず相手をきずつけようがお構いなしでものを言う人間で嫌われ者です。 
こういう中でまた次の殺人が、、、。  

登場人物の関係や心の動きが丁寧に語られています。
そうしてペレス警部とウィリー・リーヴス主任警部との関係も、、、。
ヘレナ一家には好感がもてました。長男のクリストファーは美形。自閉症ですが、数学などには強いのです。繊細な彼が無事に成長してほしいです。

グーグルマップでシェトランド島をみてストリートビューも楽しみながら読みました。
どこまでいっても緑の丘、人家は稀でところどころで羊が草を食んでいるだけ。
矢張り私はこういう所には住めないな、と思いました。

 

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