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書籍・雑誌

2024年5月 8日 (水)

『王女に捧ぐ身辺調査』 アリスン・モントクレア著

『ロンドン謎解き結婚相談所』シリーズの第二弾です。

全く他愛もない話ですが、楽しい時間が過ごせましたので、つい次作も買ってしまいました。

王女に捧ぐ身辺調査』 アリスン・モントクレア著創 元推理文庫

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この物語は1946年の話、イギリスで王女といえば少し前に亡くなられたエリザベス女王のこと。
結婚相談所なのですが、ある日、グェンのいとこで王妃の部下がある人の身辺調査を依頼してきます。
当時エリザベス王女はギリシャのフィリップ王子に恋していたのですが、色々問題ありです。
その中でも何とかしなければならないのが、フィリップ王子の母親アリスに関するスキャンダルをほのめかす手紙が届いたことです。それで事の真相を調べてほしいという依頼です。
活劇シーンの合間に二人の他愛もないおしゃべりが延々、でもこれがとても楽しいのです。
なんだか大山鳴動、、の感もなきにしもあらずでしたが、一気読みしてしまいました。

イギリス好きには楽しく時間のたつのを忘れせさせてくれる本でした。   

2024年5月 5日 (日)

『風に立つ』 柚木裕子著

新聞の評が良かったので買ってみました。

『風に立つ』 柚木裕子著 中央公論者

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問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度ーー補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることになった少年と工房で共に働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の心にも少しずつ変化が訪れて……。家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を掬いとる、著者会心の新たな代表作!

南部鉄器の工房「静嘉」は親方孝雄とその息子悟(38歳)それに還暦近い林健司が働いています。時にアルバイトを入れることもあります。悟から見ると、親の孝雄は偏屈でおよそかわいがってもらえたという記憶はありません。
それが預かった春人に対しては別人としか思えないやさしさです。
前科者を家に入れるなんて、と悟は反対ですが、頑固者の父親には抗えません。
ひょうきんなところのある健司が間を取り持ち結婚して家を出た妹も時々顔をみせて空気を和らげます。
岩手の伝統行事も取り入れて描く春人の変化、それに悟の変化、そうして父の理解へ、、、。

ハートゥオーミングノベルといえばいいのでしょうか。
私はちょっと甘い、現実はこうではないのではないか?という気がしました。 

読み終わってマンションの中庭を散歩しました。 

ベニバナとちの木です。

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2024年4月29日 (月)

『ロンドン謎解き結婚相談所』

気楽なミステリーを、とおもって探し出しました。楽しかったです。

ロンドン謎解き結婚相談所』 アリストン・モントクレア著 創元推理文庫

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第二次大戦後の荒廃が残る1946年のロンドン、それぞれの友人の結婚式で知り合ったアイリスとグゥエンは二人で結婚相談所を開くことにしました。アイリスはケンブリッジ大学卒で戦時中、スパイ活動のスキルを身につけ、グゥエンは上流階級ですが、戦争で夫を亡くし、息子と夫の両親の屋敷に住んでします。人の内面を見ぬく優れた目をもっているそうです。

開業して三か月、ある日ティリーという22歳になるきれいな女性が夫となるべき人物を紹介してほしいとやってきます。

アイリスはその女性に不審なものを感じます。
お洒落な服装でストッキングも着けて。
戦後間もない当時、ものを買うには配給切符が必要でストッキングは簡単には手に入りません。

ところがその一週間後、ティリーは殺されてしまったのです。犯人として逮捕されたのは、彼女たちがティリーに紹介しようとしていたディッキーです。
二人はまだ会ったことはないのです。それに、アイリスもグゥエンもディッキーがおよそ人を殺せるような人間とは思えません。ディッキーを助けたいと二人は奔走します。

ミステリーですから、ストーリー紹介はここまで 

他愛もないはなしです。お気楽、ちょっとドタバタ。
でも古いロンドン(知りませんけれど)がなんだか懐かしいかんじがしていいのでです。

イギリス好きなら楽しめます。次の作も注文してしまいました。

本当は胸にしみるようないい小説を読みたいのですがみつけられていません。 

2024年2月17日 (土)

『暗殺者たちに口紅を』 ディアナ・レイバーン著

とっても楽しいミステリーを読みました。60歳の女性暗殺者4人組の話です。

暗殺者たちに口紅を』 ディアナ・レイバーン著 創元推理文庫

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ビリー、ヘレン、メアリー・アリス、ナタリーの四人はそれぞれ出自は異なるものの、ニ十歳の頃、「美術館」と称する暗殺者組織に見いだされ、訓練された人たちで四人組で仕事を任されてきました。それぞれ力技、とか毒薬専門とか得意分野があります。

もともとこの「美術館」という国際的暗殺組織はナチスの残党狩りのために作られたものです。しかしナチス残党があまりいなくなってからは独裁者、武器商人、麻薬販売人、性犯罪者など社会に害悪をもたらすような人物をターゲットにするようになってきています。

暗殺は理事会からの指令のもとに行われ、勝手にターゲットを決めることはできず、もちろん誰かから謝礼をうけとって 「殺し」を請け負うことはご法度です。 

こうして約40年勤めあげて、無事60歳、引退記念に理事会から豪華客船のクルーズをプレゼントされます。

大はしゃぎでクルーズ船に乗った四人は、あるきっかけから自分たちが消されようとしていることに気づき、、、。過去の仕事(殺しの)話を挟みながら、現在の迫ってくる危機に立ち向かう様子がコメディタッチで描かれていきます。

怖くない(といっても殺しの場面はスゴイですが)ミステリー。 

巻を置くあたわずの楽しさでした。

***

ところで私はNHKのドラマ「作りたい女と食べたい女」を観ています。そこで先日「フォンダン・ショコラ」を作る場面がありました。
フォンダン・ショコラは好きで、以前にも作ったことがあるのですが、中に別にがナッシュを入れるのではなく、そのまま同じ生地で焼くタイプでした。(それでも、ちゃんと中からとろり流れ出しましたが)

手間はかかるのですが、テレビのレシピでガナッシュを作るタイプをつくってみました。
3個分の材料でしたが、がナッシュが沢山できていたので5等分して5個作れました。
粉砂糖がなかったので省略。余った生クリームを泡立てて苺を添えました。 
ナイフを入れると少し緩いチョコが出てきました。流れ出すほどゆるくはありませんでしたが、美味しかったです。

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2024年2月12日 (月)

『ポピュリズムに揺れる欧州政党政治』パスカル・ペリノー著

今年はアメリカ大統領選挙の年。共和党の指名争いではトランプ元大統領が圧倒的な強みを見せています。うーん。

そういう時新聞の読書欄にポピュリズムについての本の紹介がありました。そこで紹介された中で手軽そうな新書版の本を取り寄せました。手軽ではなかったです。

ポピュリズムに揺れる欧州政党政治』 パスカル・ペリノー著 白水社「文庫クセジュ」

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著者はフランスの右翼政党「国民戦線」(通称FN)研究の第一人者だそうです。
私にはこういう方面の知識がなく読解力もないせいだと思うのですが、翻訳が硬くて読みにくい本でした。

まずポピュリズムの定義ですが、カス・ミュデによると
社会というものは、、相対立するそれぞれ同質的な二つの集団ー純粋無垢の人民と堕落したエリートーに分けられるが、政治とは人民の一般意思の表現でならねばならないと主張するイデオロギーである

フランスのマリーヌ・ルペンの言動やドイツで極右ポピュリスト政党の存在については一応知っていましたが、この本によるとヨーロッパのいずれの国でもポピュリスト政党があり、2019年欧州議会選挙で獲得したポピュリスト諸政党の議席数は総議席751の内なんと230議席を占め、その殆どが急進右派なのです。まあ、アメリカのトランプ人気を考えれば納得かもしれませんが。

この現象について細かく章立てして歴史、左派、右派、ファシズムとの違いなど精緻に論じ、多元的な様相を示していますが、細かすぎて要約は難しいので全て省略、現代で問題になっていること、ここでは特にフランスにおける問題を扱っているのでそれだけを簡単に書いておきます。(他の国にもあてはまるところはあるように思われましたが)

経済的には脱工業化が進み、サービス経済がそれに代わった。そのため、産業資本主義では同質的な複数の階級からなる社会階層(労働者階級、農民、ブルジョワジー)イデオロギー(左派や右派)支持政党(共産党、社会民主党、キリスト教民主党、保守のブロック)などへの永続的帰属意識がひきおこされ強い忠誠心が再生産される、こういう時代は今や終わり、さらにグローバル化によっても見捨てられた、という意識だけが人々に残ったのです。

また彼らは雇用市場において外国人労働者との競争を余儀なくされます。→自国生まれ重視。移民の拒絶。

FNにとってEU は≪景気の後退、企業の国外への移転、各国人民の蔑視(EUを少数者からなる支配集団と見ている)ユーロ導入以来の価格高騰、我が国の農業の消滅、公共サービスの消失、大規模移民、ナショナル・アイデンティティの破壊»とうつっています。

ポピュリズムは、自分たちが仲介者を無視して直接に意思表示すべきだ→(燃料か買う高等に対して起きた)黄色いベスト運動もその一例。

筆者のみるところ、

民主主義は危機に瀕していると言えるが、彼らの観念は単純化されすぎている。

ポピュリズムの提起する問題

① 何事においてもますます即効性が求められる社会における人民主権
② 世界においてその克服がも求められる国家の地位
③ 不信感だけでは生き延びられない民主的システム内において、ますます一過性で変わりやすく、それでいて批判的な市民の自己表現
④ 個人主義的性格を強める大衆社会における集団帰属
⑤ 服従を受け入れようとしない社会における権威
⑥ エリートが語り、描く歴史の中でしばしば忘れられた人とも見える人民の地位、 など

そうして筆者は
われわれの民主主義は「短絡主義」や緊急事態優先からぬけださなくてはならない。今後の十年を目途に様々な政治プロジェクトが生み出され、それが雇用、成長、職業教育、さらには連帯などに関して、社会にとって大きな選択肢を提示するものになることが重要。
これからの数十年間、民主主義がもっとゆったり流れる時間を取り戻し、熟議、論証、意義付けのための余裕があたえられれば民主主義は生まれ変わるだろう。
と述べています。

詳細に検討されていて、この理由があるからこそ、と思われるところが殆どですが、そうなるとこの本全部丸写ししなければならないことにもなりそうですので、実に不十分ですがこのあたりで。

 

 

2024年1月31日 (水)

『イングリッシュマン』復讐のロシア

またまた スパイ小説を読んでしまいました。アマ〇ンで星の数が多くてコメントから面白そう、と推察したからです。

『イングリッシュマン』復讐のロシア  デイヴィッド・ギルマン著 ハヤカワ文庫

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プロローグ 2019年10月 ロシアの雪野原を、追いかけられて逃げる男、銃弾が飛んでくる、、

本編  2013年、アフリカ、マリ共和国フランス外国人部隊作戦基地、イスラム過激派の侵攻を食い止める作戦進行中の場面に切り替わります。
えっ、こんな小説?スパイものと思っていたのに、やめようかと思いながら我慢して読んでいくと、すぐ6年後のロンドンに舞台は移ります。

表紙裏の内容紹介から
土曜の朝、ロンドンの金融街の銀行役員カーターが襲撃され、拉致された。わずか27秒の犯行だった。ただちに捜査が開始されたが、手掛かりはいっさいない。事態を憂慮したM16高官は、凄腕の傭兵でカーターの友人でもある ,,イングリッシュマン,,ダン・ブラウンを急遽フランスから呼び寄せる。犯人を追ってロンドン中を駆け回るルグラン。そして 部隊は玄関の露西亜最深部へ、、、。

マリの対テロ作戦はイングリッシュマンその他の人物登場の前提として書かれていたことに納得。これからが、もう巻を置くあたわずのおもしろさ。いっきよみでした。

いわゆる文芸書も買ってあるのですが、ついスパイ物に手が伸びてまいます。

 

2024年1月25日 (木)

『四人の交差点』  トンミ・キンヌネン著

何かいい本ないかしら?と クレスト・ブックスから探し出した小説です。
フィンランドの作家、というところに惹かれました。
フィンランド、シベリウスの国です。1994年、北欧四か国ツアーでヘルシンキでの自由時間を利用して、初めて海外で一人で列車に乗ってシベリウスの家が記念館になっているアイノラにでかけたことを思い出します。館野泉さんがテレビで紹介されたこともある所です。
素敵な国です。深い森、そして数多くの湖沼。

この小説には全く関係がないのですが、ツアーで行った古い教会をのことを少しだけ書いておきます。
シルバーラインという船で川を遡っていったのですが、2時間ほどいったところにあるハットラという村で下船し、すぐ近くの古い教会に行きました。
教会home pageから借用した写真。

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Kuvia Pyhän Ristin kirkosta - Hattulan seurakunta

ここで壁画がみられます。中世絵画です。これで古い教会に対する関心が芽生え、翌年からロマネスク教会巡りをするようになったのです。ここはゴシック時代でしたけれど。

 

***

この小説、当たりでした。よかったです。

四人の交差点』 トンミ・キンヌネン著 新潮クレスト・ブックス

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1895年から1996年に至るある一家の三世代、100年の物語です。
フィンランドは西側はボスニア湾とスゥエーデンに、東側はロシアに接する南北に長い国です。ボスニア湾の奥にオウルという町があります。舞台になる村はそのオウルから少し離れた山奥のようです。

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序章 
1996年、病院で死の床にある女性の話から始まります。彼女は母をおもいだしますが、取り分け強く思い出しているのは夫だった亡くなった男のことです。愛していたのに振り向いてくれなかった男オンニ、彼に戻って来て、といいながら亡くなるのです。その手をにぎっているのは息子のヨハンネスと嫁のカーリナ。

この物語はこの女性ラハヤとその母マリア、嫁のカーリナ、夫のオンニの4人の話で構成されています。交差点とは彼らの住んでいる家です。

マリアの章
1890年に助産師の資格を得たマリアの物語です。徐々に認められてきた彼女は1904年にこの村にやってきます。未婚の子をおなかに宿して。最初は小さな家を買ったのですが、それを少しずつ増築して大きくしていきます。助産師として広く認められていきます。

ラハヤの章
マリアの娘、ラハヤは偉大な母を持ち、何とか自分も立派な仕事をしたいと、もがきます。
その一方恋愛をして子供をえますが、相手には逃げられます。
やがて、写真師という仕事を見つけ、家の一部を写真館にして仕事をします。そうしてオンニという美男に出会い33年に結婚。 彼は特に職業をもっているわけではないのですが、この家にやって来て大工仕事を引き受けます。家をますます大きくし、そうして家具も器用に作ります。
子供も二人、それにラハヤの最初の未婚の子、この三人をオンニはとてもかわいがります。
しかし 幼い頃高熱を出し娘のヘレンは盲目となります。
戦争がはじまり、オンニは兵士となって出征。帰ってからオンニは月に一度何かと口実をもうけてはオウルに行くようになります。ラハヤはいよいよ頑固になります。

カーリナの章
ラハヤの息子ヨハンネスの妻
ヨハンネスはおとなしい子で目立たず、学校でも行こうと思うなら中学には行ける、とはいわれたのですが、家で母親の写真館の手伝いをしています。
カーリナは気難しい義母にひたすらつかえています。子供たちとの楽しいひと時も書かれています。

物語ではもっと古い時代ですが、オンニが作った夏の家の話しが出てきます。

フィンランド旅行の際、船で川を遡った時に、こういう夏の家をいくつも見かけました。

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川?湖で洗濯 

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ここでは団らんもあるのですが、大きな家で一族が暮らしていてもどこか風がとおりぬけていくような、、、。多分、マリア、ラハヤという字がの強い人を寄せ付けないような性格がもたらしているのでしょう。孤独感が漂います。

オンニの章
非常につらい話でした。ここを書いてしまうと、これからお読みになる方に申し訳ないので書きません。
背景として、フィンランドはルター派の厳しい掟に縛られた民の国だということがあるようです。

最期にラハヤも亡くなった後、ヨハンネスとカーリナは過去のものを整理しやっと自分たちだけのものになった家でこれからは始まる生活に心を弾ませるところで終わります。
 

4人それぞれの気持ち、心のうめきが聞こえるような描写すばらしかったです。

2024年1月20日 (土)

フォーサイスを二冊

気が付いたらずいぶん長くblogをお休みしていました。短歌提出があり、やっと何とか仕上げて、ぼんやり、、、。とうとうお友達から具合が悪いのでは?というお電話を頂いてしまいました。
体は大丈夫なのですが、頭の回転が鈍っているのです(今に始まったことではないのですが)
読んだ本が特筆すべきものではないので、書いていなかったのですが、備忘録として書いておくことにしました。


アマゾンを開いてみつけたフォーサイスで未読だったのものです。お正月早々に読むにはどうか?と思ったのですが。

キル・リスト』上下 フレデリック・フォ-サイス著 角川文庫

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キル・リストとは暗殺リストです。
カバー裏の内容紹介より
上巻
ホワイトハウスの暗い内懐に存在する、超危険人物が記された極秘名簿「暗殺〈キル〉リスト」。そこに、ネットでテロを扇動する狂信的イスラム主義者〈説教師〉が新たに加えられた。サイバースペースに潜む扇動者を抹殺すべく、米秘密軍事組織「TOSA」のテロリスト・ハンターで海兵隊中佐〈追跡者〉に大統領行政命令が下る。各国諜報機関や秘密組織、そして天才ハッカーを巻き込み、圧倒的リアリティで描く、旋律の国際諜報サスペンス!
下巻
イスラエルの工作員のオパルは、〈説教師〉の新しい秘書となり、アジト潜入に見事成功した。一方〈追跡者〉は〈エアリアル〉(天才八かーの暗号名)に、巧妙に撮影されたフェイク動画を全世界に発信させた。その動画で説教師晴明を断たれた〈説教師〉は。同様して一本のメールを送ったことで、居場所を特定されてしまいーーー。遥か上空かた監視する米軍無人機。〈追跡者〉の最期の戦いが始まる。  

私はスパイものが好きなので、次々と糸をほぐすように確信に迫っていくのを読むのは楽しかったです。 
でも不快感は残ります。
追跡者が主人公です。彼は軍人の家に生まれ、身体能力も頭脳もすぐれ、進取の気にとんでいます。全てにおいて
超優秀なのですが、軍を志す人だからでしょう。殺すべきと思った人物を殺すことができる人なのです。
感情移入はできません。

ザ・フォックス

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イギリスで天才的なハッキング能力をもつ18才の少年がみつかった。世界最高峰の機密性を誇るアメリカ国家安全保障局に侵入したその少年に、イギリス首相の安全保障問題担当顧問、サー・エイドリアン・ウェストンは、コードネーム「フォックス」を与える。
ミッションは、敵国のシステムにトロイの木馬のように侵入し、痕跡も残さず秘密工作を行なう「オペレーション・トロイ」。狙うのは核合意を結んでいながら密かに核兵器開発を継続するイラン、同じく米朝会談で非核化を約束しながら核ミサイルの開発を継続する北朝鮮、そして密かな企みを遂行するロシア――。
しかし、アメリカ司法省に埋め込んだ工作員からの情報で、いち早く天才ハッカーの存在を察知したロシアの諜報機関は、暗殺者を差し向け――。
サイバースペースで繰り広げられる戦いを、圧倒的なリアリティで描く、国際謀略サスペンス!

これも面白かったのですが、最後が出来過ぎ、と思いました。大体北朝鮮までやっつけてしまうのですから。

なんだか粗描という感がぬぐえません。

矢張り、ジョン・ル・カレの重厚さが懐かしいです。

2023年12月28日 (木)

『青い壺』有吉佐和子著

アマ〇ンでみつけました。有吉佐和子、懐かしい名前です。といってもこれまで読んだのは新聞小説『複合汚染』だけ。あとは映画です。
『青い壺』という小説も知りませんでした。星の数が多かったので買ってみたのです。

青い壺』有吉佐和子著 文春文庫

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これは新装版で、初出は文芸春秋 昭和51年1月号~昭和52年2月号
昭和51年は西暦で言うと1976年です。どのような時代だったかあらためて日本史年表をめくってみました。ロッキード事件、というのが出ていました。首相は田中角栄から三木武吉になっています。ちなみに『複合汚染』は75年です。
でもここでは政治や社会問題などについては全く書かれていません。

ただ最後になってわかるのですが、この壺が焼かれてから10年たっているのです、ということは主に昭和40年代の話、ということになります。
私は大学を出て就職もしないで結婚、子供はすぐにはできなかったのですが、30代始めの頃は幼い子供たちに振り回されていました。

何故こんなことを書くかというと、この小説、居心地がいい、というか私にはしっくりくるなじみの世界だったからなのです。

昭和40~50年ごろ、社会は色々あったかもしれないのですが、社会に出たことのない人間にとっては家族とご近所が世界のすべて。影響を受けたのはオイルショックによるトイレットペーパー騒動くらいです。

この小説、最初と最後に男性がでてきますが、他はほぼ女性が主人公。多くは生活にゆとりがありますが、ない場合でもそれはそれ、自分とその周りのことにしか心は向けていません。登場人物の社会的背景、というかご主人の社会的地位は我が家よりずっと上のところが多いのですが、ものの考え方、というかふるまい方に近しいものを感じました。時代の空気とでもいえばいいのでしょうか。しっとり落ち着いたものを感じ、読みやすい小説でした。

青磁の壺をめぐる短編連載小説集です。
第一話
京都、金閣寺に近いところらしいのですが、そこに窯を構える陶芸家、牧田省吾。青磁専門です。なかなか父親を超えるような作品ができなかったのですが、その日、自分でも感動するような色艶のいい品位のある作品ができたのです。経管と呼ばれる筒形の花器です。

省三が留守の間に壺が無くなっています。妻の治子はいつもの古道具屋ではなく、デパートの人がやってきて、東京の本店の美術コーナーで扱いたいというので渡したというのです。

こうして第二話から、青磁の壺は人から人へと渡っていくのですが、その持ち主、家族の気持ちや様子が語られていきます。

壺は退職した夫婦が上司へのお礼として購入。何かお礼を、という段階にいたるまでの退職して夫がいつも家にいるようになりうっとうしがっている主婦のグチ、まあ、そうでしょう。この第二話のラストは ちょっと深刻。

第三話は副社長に届けられた、花器。副社長夫人はお花に心得のある人ですが、経管は生けにくい形らしく、苦労しています。遊びに来た孫娘、その母親である娘の婚家の相続争いなどの話が語られる、など

その後、お花教室にきている独身女性に花器は譲られ、それは 、、、と次々別の人の手に渡ったり、盗まれたりするのですが、そこで語られる女性たちの話、心配、グチ、昔を懐かしむ様子などが興味深いのです。
どれも面白いのですが、第九話の女学校卒業後五十年目の同窓会の話は笑えました。

こうして第十三話 もう十年たっています。
省三は個展を開くまでになったようです。美術評論家の家に挨拶に行きます。そこで青磁の壺に出会うことになるのです。
この話がまた傑作。

この本、お正月休みにふさわしいかもしれません。

2023年12月27日 (水)

『プエルトリコ行き477便』

最近2冊、本を読みました。アマ〇ンの本でお薦めなどから出てくる本を適当に、星の数が多くて面白そうなものを選びました。そのうちの一冊

プエルトリコ便477便』 ジュリー・クラ-ク著

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これまでの人生から逃げ出したい二人が入れ替わる話です。

エヴァは大学で化学を学んでいたのですが、今は麻薬作り、それでお尋ね者になっています。
クレアはケネディ家に次ぐ名家に嫁いでいますが、夫のローリーはDV男で生傷が絶えません。愚弄されて精神的にも限界です。とうとう夫のもとから脱げだす計画をたてます。

それぞれ現状から抜け出して新しい人生を切り開こうとやってきた空港で二人は出会います。
ふとしたきっかけで二人が同じ願いをもっていることを知り、お互いれ変わることにします。
クレアはエヴァの住んでいたオーランドに向かい、エヴァはプエルトリコ行きに乗り込みます。
ところが、プエルトリコ行きの航空機は墜落、クレアは死んだことになってしまいます。ところが、夫の捜査網は妻が生きていることをキャッチ。身を隠していてもだめだとクレアは決心して、、、。

面白いことは面白いのですが、夫の暴力にたいして 声をあげよう、という意図が見えすぎる感があって、小説としてはどうも、という感想を持ってしまいました。

 

さて、忙しかったのでしょう、26日になって娘からのクリスマスカード(赤いツリー型カード)が届いたのであらためて写真を撮りました。 
簡単アップルパイも作りました。(冷凍パイシートを使って、煮林檎をつくらないのでラク)

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